流下式塩田 (りゅうかしきえんでん)
流下式塩田
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:20 UTC 版)
塩砂の代わりに立体的な枝状の装置(枝条架 しじょうか)を利用して鹹水を作る方式。イオン交換膜製塩法が導入されるまでは、近代における製塩方法の主流だった。 日本の塩は1905年(明治38年)から専売制となり、塩の生産量や生産方法は政府によって定められるようになった。流下式塩田は大量の塩需要に対応するために1950年代までに開発され、採用された方式である。 ポンプを利用して海水を1日1ヘクタール当たり60~150キロリットル汲み上げ、コンクリートやビニールで防水された緩やかな斜面(蒸発層。長さ20~40メートル、こう配は100分の1~150分の1)に海水を秒速1~2センチメートルで流し(海水の偏流を防ぐために幅約2メートルごとに仕切りがある)に流しながら日光に当てることで水分を蒸発させ、塩分濃度を高める。1回では濃度上昇が高くないので、2~3回繰り返す。海水を枝条架の上へと散布する。枝条架は竹や細いビニール管をまとめてホウキのような枝状にし、幾層にも集めて棚にまとめたもの。これに付着した海水に天日および風を当て、水分を蒸発させ、脚部の鹹水槽に貯める。これを再度汲み上げて枝条架に散布し、同様に鹹水槽に貯める、という作業を繰り返し、一定の濃度に達したら、鹹水を煮詰めて製塩する。 枝条架の考案によって、塩砂をかき混ぜる作業の必要がなくなり、労力が軽減されるとともに、生産性が著しく向上した。また太陽光に加えて風による水分蒸発が可能になったため、比較的日照時間の短い季節や地域においても、一定量の塩の生産が可能になった。
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