油彩画の構造とは? わかりやすく解説

油彩画の構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 12:09 UTC 版)

油彩」の記事における「油彩画の構造」の解説

油彩画絵画の内でもすぐれて明確な積層構造をとる媒体である。塗膜の接着良くする意味で、"Fat over lean"という慣(ならい)に従い上層下層より油分多くなるようにする。油彩絵具による塗膜にそのまま水性絵具重ねると剥落などの問題起こすので避けられる経年によって、鉛白などは乾性油反応し金属石鹸生じ透明度が高まるので、凡そ100年以上経過する描き直し躊躇い見えるようになる。これをペンティメントと呼ぶ。パウル・クレーの『ドゥルカマラ島』のように、経年による絵具層の変化利用され作品知られている。油彩基本的な構造以下の通りである。 支持体 支持体絵画の塗膜を支える面を構成する物質である。下地描画層物理的に保持する部分多く場合キャンバス帆布)や、木製パネル羽目板)や単独の板に麻布綿布用いられる絶縁層 油彩絵具乾性油酸化重合によって固化する絵具であるため、布地などに直接描画すると布を酸化してしまう。それを防ぐために支持体絵具層の間に、絶縁する層が必要となる。麻布用い場合伝統的に麻布に膠を引くことで絶縁する。これは前膠(まえにかわ)と呼ばれる代表的な膠は、兎膠と牛膠である。前者柔軟性高く後者接着力が強い。特に後者工業的に用いられており、純度の高いものはゼラチンとして流通している。絶縁にはPVA酢酸ビニルなども用いられている。 地塗り層下地絵具下層影響を受けるため、絶縁層描画層との間にしばしば、地塗りをして絵具発色良く描画特性高める層を設ける。地塗り層は、上層であるの絵具層からある程度油分吸収することで絵具固着良くする役割も果たすことから、地塗り技法中でも重要な役割を果たすキャンバスには予め地塗り施してあるものが市販されているほか、木枠張られ商品もある。これは便利であるが、本人要求を満たす適性備えているとは限らない購買層多く初学者絵画教室生徒である。 描画層 地塗り以外の絵具の層のことを描画層呼称する。 保護層 絵具の上保護目的施される層。油絵具用いられる顔料中には硫化水素などの物質によって化学反応起こし変色するものがある。またホコリ煙草のヤニによっても絵画汚れる。これを防ぐ目的描画終了して一年経過した後(のち)に、保護バーニッシュ塗布する例えば、展覧会直前まで制作した絵画をその展覧会販売し購入者バーニッシュ塗布専門家依頼する等しなかった場合、その絵画には保護バーニッシュ塗布されていない状態が続き絵画汚れ危険に晒され続けることになる。このバーニッシュには、後に再度溶解による除去が可能で、バーニッシュ塗り直し許容するものを用いる。バーニッシュ剥離剥落抑える効果生じ場合もある。

※この「油彩画の構造」の解説は、「油彩」の解説の一部です。
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