民力涵養運動とは? わかりやすく解説

民力涵養運動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/04 08:03 UTC 版)

民力涵養運動(みんりょくかんよううんどう)とは、第一次世界大戦後の1919年(大正8年)3月、当時の床次竹二郎内務大臣から各府県知事宛に発せられた訓令をきっかけに始められた、様々な戦後経営事業の総称。

概要

以下の五大要綱を掲げていた。

  • 立国の大義を闡明し国体の精華を発揚して健全なる国家観念を養成すること
  • 立憲の思想を鬯明にし自治の観念を陶冶して公共心を涵養し犠牲の精神を旺盛ならしむること
  • 世界の大勢に順応して鋭意日新の修養を積ましむること
  • 相互諧話して彼此共済の実を挙げしめ以て軽信妄作の憾みなからしむること
  • 勤倹力工の美風を作興し生産の資金を増殖して生活の安定を期せしむること

国家思想の啓蒙地域秩序の再編、デモクラシー思想の高まりへの対応、生活改善、労使地主小作関係の調整など、雑多な内容を含む運動であった。1年目は内務省地方局の主導によって、2年目以降は社会局の主導によって推進されたと考えられている[1]

なお民力涵養運動という名称についてであるが、『内務省史』によると、社会主義を連想させるという理由から「社会」の文字が嫌われ、その代用として「民力涵養」と呼ばれたということである[2]

脚注

  1. ^ 山本悠三「民力涵養運動と社会局」『東北福祉大学紀要第15巻』1991
  2. ^ 『内務省史 第三巻』原書房1980

民力涵養運動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/07 17:21 UTC 版)

教化団体」の記事における「民力涵養運動」の解説

1919年3月内務省は民力涵養運動に着手する明治後期から続けてきた地方改良運動地方自治体再編課題とするのに対し、この民力涵養運動の課題は、第一次世界大戦後社会不安緩和することであった内務省はまず同月1日に「戦後民力涵養に関する訓令」を発しその5大綱領の第1に立国大義闡明国体精華発揚して健全な国家観念を養成すること」を掲げる。次いで全国各地講演会開き講師派遣する派遣され講師中には、かつて全国道徳団体連合大会主催した花田仲之助の名も見える。この間5月内務省地方官本省招集し協議会開催する内務省協議会示した私案には、(1)国民教化徹底普及を図ること、(2)祖先崇拝実を挙げること、(3)教育・思想道徳宗教に関する諸家および諸団体意思の疎通図り、その奮起促すこと、の3点盛り込まれた。ここに教化団体組織化に近い動き認めることができる。また、内務省は民力涵養運動の実施中央報徳会に委託する委託受けた中央報徳会は、8月末から全国各地独自に講演会開催する。翌1920年内務省地方局刊行した民力涵養宣伝経過』では、各地報徳会などをはじめ、道徳団体など内務省趣旨賛同して会合開いていたことを伝えている。

※この「民力涵養運動」の解説は、「教化団体」の解説の一部です。
「民力涵養運動」を含む「教化団体」の記事については、「教化団体」の概要を参照ください。

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