母の父・メジロマックイーンの産駒について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 08:16 UTC 版)
「ステイゴールド」の記事における「母の父・メジロマックイーンの産駒について」の解説
2009年、母の父にメジロマックイーンを持つドリームジャーニーがグランプリ連覇を達成した2年後の2011年、全弟であるオルフェーヴルが三冠馬となり、またこの年は前述の2頭と同じく母の父にメジロマックイーンを持つフェイトフルウォーが京成杯・セントライト記念を制した。その翌年には前述の3頭と同じ血統を持つゴールドシップが皐月賞・菊花賞を制したことにより、ステイゴールドとメジロマックイーンを父に持つ繁殖牝馬の配合がニックスと目され、「黄金配合」として注目を浴びた。 ステイゴールドの父・サンデーサイレンスは非常に気性が荒いことで知られており、騎乗した人間の指示に従わず暴れる傾向があった。競走馬時代のサンデーサイレンスの調教師を担当していたチャーリー・ウィッティンガムは厩舎一の腕を持つジャネット・ジョンソンをサンデーサイレンス担当の調教助手に指名したが、ジョンソンは気性の荒さに嫌気が差して一度騎乗しただけで降板しており、騎手のウィリー・シューメーカーも調教のために騎乗したことがあるが気性の荒さに激怒し、レースでの騎乗を拒否したほどである。しかし、種牡馬時代のサンデーサイレンスはメジロマックイーンがそばにいると大人しくなることが多く、サンデーサイレンスとメジロマックイーンの放牧地は隣同士に設えられていたという逸話がある。社台スタリオンステーションの徳武英介は、「ちょっと不良っぽいヤツとナヨナヨした感じのヤツが妙にウマが合ったりすることって、人間の男同士でもあるでしょう?マックが“ナヨナヨした性格の馬だった”という意味ではないけれど、サンデーにとってマックは自分にないものを持った馬、隣にいると自分が落ち着けて癒される存在だったんじゃないかな。そうした相性が血統の世界にも反映されて、だからマック牝馬と(サンデーサイレンス産駒の)ステイゴールドの配合から、これだけ走る馬が出るのかなって思ったりもするんです(笑)」という見解を示しており、また徳武は“自分にない特徴を補完しあう関係”は、性格面にとどまらず肉体面についても指摘できるといい、「マックって肉体的にはちょっと水っぽいというか、芦毛特有のダブダブした感じがあったんですよ。一方のステイはサンデーやディープと同様、もっと乾いた感じの馬。あの配合はお互いの特徴をうまくカバーしあっている面もあると思います」と推測している。 岡田繁幸はステイゴールドとメジロマックイーンを父に持つ繁殖牝馬の血統に由来する肉体的な相性の良さについて、「マックイーン自体がグニャグニャした、ゴムみたいな馬だった。それはパーソロン系(メジロマックイーンの曾父母)の特徴で、トウカイテイオー(パーソロンの孫)もそうだったでしょう?一方のステイはディープインパクトに比べると筋肉の収縮力、輪ゴムをどこまで引っ張れるかという意味の“粘り”がちょっと足りないから、パーソロン系の牝馬にステイをつけると、粘りの不足が補われてディープの体質に近くなるわけ。だから僕に言わせればあの配合があれだけ走るのは当然で、たとえばトウカイテイオー牝馬にステイを付けても理論的には成功するはず。テイオーの牝馬って細い馬が多いから、細すぎる産駒が生まれてしまうリスクもあるけれど、ある程度の馬格があって、お尻もあって、テイオーに似たゴムみたいな体質をした繁殖にステイを付ければ、オルフェーヴルみたいな馬を出す可能性は十分にあると思います」と解説している。 この「黄金配合」が注目された時期においては、すでにメジロマックイーン産駒の牝馬で繁殖登録されている馬の数は少なくなっており、乗馬として供用されていたメジロマックイーン産駒の牝馬(ミツワオーロラ)がステイゴールドと種付けする目的で買い戻されるという事例も出たほどであった。ただし、前述の配合を持つ馬が重賞を制したのは2015年の天皇賞・春をゴールドシップが優勝したことで最後となっている。また、オルフェーヴルの母であるオリエンタルアート(2015年死亡)、ゴールドシップの母であるポイントフラッグ(2016年死亡)はそれぞれ2頭を生んだ後もステイゴールドとの交配が行われ、オリエンタルアートは5頭、ポイントフラッグは3頭ステイゴールドとの仔を生んだものの、いずれも目立った成績を残すことはできていない。 メジロマックイーン以外では母系にダンジグを持つ繁殖牝馬とも相性が良く、フェノーメノ、ナカヤマフェスタ、シルクメビウスがこれに該当する。
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