歴史改変SFを発展させた主な作家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 18:40 UTC 版)
「歴史改変SF」の記事における「歴史改変SFを発展させた主な作家」の解説
フィリップ・K・ディックの『高い城の男』(1962年)は、ナチス・ドイツと大日本帝国が第二次世界大戦に勝利した世界を描いている。ディックの作品の中でも特に高く評価されており、歴史改変SFを主流文学にまで高めたとの評価まである。また、この作品ではナチスと日本の負けた世界を描いた本の作者が登場し、一種の入れ子構造になっている(同名のテレビドラマが制作された)。 続いて、ウラジミール・ナボコフの『アーダ』(1969年)は、帝政ロシアが北米の一部を支配する世界を描き、その中で主人公は我々の世界と思われる逆地球の噂に苦しめられる(ディックの入れ子構造を借用したと言われている)。一部批評家は、『アーダ』における逆地球の存在が、描かれている世界が主人公の幻覚であることを示唆しているという(これもディックに良く見られるテーマである)。 豊田有恒の『モンゴルの残光』(1967年)は、モンゴル帝国が世界を支配した時代を描いている。山田風太郎の『魔天忍法帖』(1965年)は、安土桃山時代から江戸時代初期の歴史を改変しているが、出来事の流れが本来と逆になっているという特徴がある。 アイザック・アシモフの短編「もし万一…」(1952年)は、テレビのような装置を使って別の現実を調べる話である。同様のアイデアは1955年の長編『永遠の終り』にも登場する。この作品では、「永遠」は世界の現実を人々に気づかれずに改変できる。 フィリップ・ロスの 「プロット・アゲンスト・アメリカ」(2004年)では、フランクリン・ルーズベルトが1940年の3度目の大統領選に負け、チャールズ・リンドバーグが大統領となり、アメリカでのファシズムと反ユダヤ主義が高まる。 ダレン・シャンのダレン・シャンシリーズでは、12巻目でこのテーマについて言及している。すなわち、時を遡ってアドルフ・ヒトラーを殺害したとしても、別の誰かがその役を果たすとし、歴史は変えられないと主張する。同様の主張はドイツ人作家 Carl Amery の Das Königsprojekt (The Royal Project)にもある。
※この「歴史改変SFを発展させた主な作家」の解説は、「歴史改変SF」の解説の一部です。
「歴史改変SFを発展させた主な作家」を含む「歴史改変SF」の記事については、「歴史改変SF」の概要を参照ください。
- 歴史改変SFを発展させた主な作家のページへのリンク