次世代型A321neoの開発
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「エアバスA321」の記事における「次世代型A321neoの開発」の解説
単通路機市場の発達とともに、航空会社はさらに長距離路線へ単通路機を投入することを望むようになった。A320ファミリーの改良を続けつつ後継機の研究を行ってきたエアバスは、2010年12月1日、エンジンを一新した次世代A320neoファミリーの開発を発表した。「neo」は「New Engine Option」の頭字語と「新しい」という意味のギリシャ語「neo」をかけたものである。その名の通り新型エンジンを装備することで、燃費性能や航続力を向上させる機体である。A320ファミリーのうち、neoに移行されるのは、A321、A320、A319の3機種とされた。最も短胴型のA318は、将来需要が見込めなかったことから、neoの開発は見送られた。まずA320neo、続いてA321neoが開発されることとなった。neoの登場に伴い、既存のA320ファミリーはA320ceo(Current Engine Option; 現行エンジン選択型の意)と呼ばれ区別されることとなった。 A321neoは部品の95%がA321ceoと共通化されている。A320neoファミリーのエンジンは、CFMI社のLEAP-1Aと、プラット・アンド・ホイットニー(以下P&W)社のPW1100G-JMが選定された。A321neoのエンジンには両エンジンの推力増強型が採用された。A321ceoに対してエンジン推力が強化され、上昇性能も向上した。エンジンの直径が拡大し、バイパス比が約2倍になったことで、燃費や騒音、排ガスに関する性能が向上した。燃費の向上により航続距離は500海里(約926キロメートル)延長された。エンジン直径が大きくなるが、エアバスはエンジン最下面と地面との間隔は必要な距離が確保されるとして降着装置の脚長などは変更されていない。 抗力を減らし燃費性能を向上させるため、neoの主翼端にはシャークレットが標準装備された。主翼動翼の空力性能にも改善が加えられた。これらの改良により、ceoに比べて巡航高度や上昇限度が引き上げられたほか、離陸性能も向上した。また、飛行制御システムも改良されている。 A321neoの初号機はLEAP-1Aエンジン装備型で、2016年2月9日にハンブルクで初飛行に成功した。初飛行からわずか約1週間後、A321neo初号機は試験飛行中に尻もち事故を起こした。事故機は修理を余儀なくされ、試験スケジュールが遅延した。翌月9日には、PW1100G-JMエンジン装備のA321neoも初飛行に成功し、初号機と合わせて試験飛行に投入された。飛行回数130回以上、350時間以上の飛行試験を経て、2016年12月15日に、PW1100G-JM仕様のA321neoが欧州航空安全機関 (EASA) と米国連邦航空局 (FAA) から型式証明を取得した。2017年3月1日には、LEAP-1Aエンジン仕様についてもEASAとFAAから型式証明が交付された。 2017年1月末までに、A321neoは1,388機の発注を得ていた。A321neoの初引き渡しが行われたのは2017年4月20日で、納入初号機はLEAP-1A装備型であった。受領したのはリース機で導入したヴァージン・アメリカで、同社は5月31日にサンフランシスコ - ワシントン便でA321neoの商業運航を開始した。PW1100G-JM装備型については、2017年9月5日に全日本空輸に対して初引き渡しされ、同月12日に日本国内線で路線就航を開始した。 A321neoについてもETOPS認証作業が進められ、各エンジン仕様について180分までのETOPSが2017年6月から順次認められている。
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