未払い世帯の増加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 09:24 UTC 版)
市町村国保の保険料収納率は1980年(昭和55年)頃には95%程あったが、2009年には過去最低の88.08%を記録、2012年では89.86%となった。 ただし、本来国民健康保険は国民健康保険法第9条により社会保険に加入した場合にその資格喪失を世帯主が届け出る必要があるが、就職と同時に手続きをする会社が行う従業員の健康保険及び厚生年金保険に加入によって自動喪失される国民年金に対し、同じように同時に喪失されるものと思い違いをすることによる国民健康保険と社会保険との二重加入の問題があり、実際の滞納率はより低いものである可能性がある。 なお、滞納分は滞納することなく支払った他の被保険者が負担することになっており、保険料は滞納分を見越して設定されているといわれている。また、それでも不足の場合は、一般会計からの繰り入れで補填されることになっている。 市町村の一般会計からの法定外繰入の推移は、2012年度の3,534億円から2017年度には1,751億円と年々改善している。 経済的困窮者については、生活保護の申請により医療扶助が支給されるが、これはミーンズテストに該当する場合でなければならない。このため、生活保護を受けるに至らない程度の経済的困窮者が保険料を払えず滞納し事実上の無保険者になるケースもあり、全日本民医連の調査では2014年に受診が遅れて死亡したケースが56人で、うち無保険者は20人、短期被保険者は8人であった。このような者を対象とした無料低額診療事業を行っている病院もある。 外国人の国民健康保険制度においては、国民健康保険税(料)では、初年度は日本での前年所得が無いため軽減となり、翌年度は通常の保険料(税)額となるが、滞納したまま帰国 してしまうケースも多いといわれている。豊島区では平成30年度予算において、外国籍の被保険者が急増しており、区の全被保険者の4分の1を占めていることを掲げ、特にベトナム人の転入者が急増し、滞納世帯数及び滞納金額も急増している状況を述べている。国民健康保険制度への理解、納付意識の低さなどから滞納につながりやすい傾向にあることから、ベトナム語に対応できる相談員の配置を開始した。平成27年時点では、国保は加入の2割超が外国人で、その半数が留学生であり、中でも最近ベトナムからの留学生が非常に多く、ベトナムの留学生の収納率は36%くらいでかなり低いとされている。このため、国民健康保険課で日本語学校に向けて納付勧奨のPRを行っている。 千葉県船橋市でも国保で29年度の保険料を滞納した世帯のうち、世帯主が外国人の世帯の収納率は54.98%で、全体の収納率(90.27%)に比べて低くなっていることにより、平成30年よりネイティブスピーカーによるベトナム語、ネパール語での電話納付勧奨を開始し、6カ国語(英・中・韓・ベトナム・ネパール・シンハラ語)に翻訳したパンフレットを作成して対策している。松戸市でも平成29年度決算として、滞納額の約1割強が外国人であり、今年度から徴収戦略の一環で、ベトナム人滞納者が増加していることから、ベトナム人が通う日本語学校に協力してもらい、国民健康保険制度の周知や指導を行った。滞納処分も、外国人に対し11月末現在で92名差し押さえしたと報告されている。
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