望ましい作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/12/28 17:35 UTC 版)
薬物として望ましい作用は主に以下の点に起因する。 細胞膜破壊 化学反応 酵素タンパクとの相互作用 構造タンパクとの相互作用 輸送タンパクとの相互作用 イオンチャンネルとの相互作用 受容体との結合ホルモン受容体 神経調節受容体 神経伝達物質受容体 一般的な麻酔薬はかつては、神経細胞膜障害を起こしナトリウムイオン流入に取って代わることで作用すると考えられていた。制酸薬とキレート剤は体内で化学的に結合する。酵素に結合する化合物は、生体反応の鍵となる内生化合物の生成や代謝をブロックする。例えばアスピリンはプロスタグランジン合成酵素(シクロオキシゲナーゼ)を不可逆的に阻害して炎症反応を抑制する。通風の治療薬として知られるコルヒチンは構造タンパクの一種チューブリンの機能を阻害する。また現在も心不全に用いられるジギタリスはNa+/K+-ATPアーゼの輸送分子の活動を阻害する。薬剤の大半は細胞の働きを決定付ける受容体に対する配位子として働く。配位子が結合すると受容体はa)通常の作用を引き出す(アゴニスト)、b)作用を阻害する(アンタゴニスト)またはc)通常の作用と反対の作用を示す(インバースアゴニスト)。薬理学者は、期待された程度の作用を示す薬剤の血中濃度を知ることを目標とするが、現実的には様々な要因が関連してくる。薬物動態学的要因が最大濃度を決定し、代謝による分解と排泄機構のために血中濃度は常に変化する。受容体の活性化状態や細胞、組織、器官の状態により作用の程度は影響を受ける。遺伝的要因により代謝や薬剤の作用そのものが変化しうる。また、患者のその時々の状態により投与量も変わりうる。
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