日本における状況と対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 09:09 UTC 版)
日本では、2017年(平成29年)に入ってから7月16日までに6都府県で8回発見されており、このうち2件は内陸部(愛知県春日井市および茨城県常陸太田市)で発見されている。 初めて発見されたのは2017年5月で、中国の広東省広州市から神戸港へ貨物船で運ばれた海上コンテナの中から発見された。同年7月14日には横浜港本牧埠頭のコンテナヤード内のアスファルトの割れ目から700匹以上のヒアリが見つかった。女王アリはまだ見つかっていないが、巣を作って繁殖していた可能性が高いという。神奈川県はこのことを受け、県民からの情報提供や相談を受け付ける「ヒアリコールセンター」を設置した。 同年7月27日には、福岡市博多区の会社敷地内にて、中国から博多港に陸揚げされたコンテナの荷物を運び出していた作業員がヒアリに腕を刺されて軽傷を負い、日本国内で初めて人的被害が出た。 同年8月10日には、内陸県である埼玉県(狭山市新狭山)の事業者敷地内にて、貨物の梱包材から女王アリの死骸が見つかった。この貨物は中国の黄埔港(広州市)から香港を経由して7月11日に東京港で陸揚げされ、7月18日または7月19日に陸路で事業者敷地内へ運ばれた。環境省と埼玉県は「繁殖の可能性は低い」としている。 2018年6月16日、大阪南港に陸揚げされたコンテナから2,000匹以上のヒアリが発見され、作業員の男性2名が刺されたが、軽傷であった。 こうした事態に対し、環境省など政府機関や各地の自治体、港湾管理者が調査と駆除を行っている。巣の形成による定着を防ぐため、国土交通省は港湾コンテナヤード舗装の隙間を埋める緊急工事を行った。人間による目視では発見しにくいヒアリの集団や巣を嗅覚で探し当て、オーストラリアや台湾での実績を持つヒアリ探知犬の導入も検討されている。 ヒアリと日本在来アリは目視だけでは判別しにくい。国立環境研究所は2018年5月、採取してすり潰したアリの試料のデオキシリボ核酸(DNA)を調べ、2時間程度でヒアリか否かを判定できるキットを開発したと発表した。国立環境研究所は台湾のヒアリ調査・駆除会社モンスターズアグロテックと、アリ類を撮影した画像・映像からヒアリかどうかを人工知能(AI)により現場で1分以内に判定できる技術の共同開発で2021年3月26日合意した。 2019年10月17日、国立環境研究所は東京港青海ふ頭で定着した可能性が極めて高いと発表した。 現在、日本全国におけるヒアリの定着は確認されていないが、一般人が在来種、例えばオオシワアリやアミメアリ、ヒメアリ等をヒアリと勘違いするケースが多発している。
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