新兵器の試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/12/27 15:30 UTC 版)
「R-44 (大型ミサイル艇)」の記事における「新兵器の試験」の解説
R-44は、3M24「ウラーン」艦対艦ミサイルを装備した最初の艦艇となった。1983年、R-44は02066号計画によってこの新型ミサイルの発射装置を装備する改修を受けた。3M24「ウラーン」の発射装置は4連装のものが2 基搭載され、代わりに従来のP-15M「テルミート」艦対艦ミサイル単装発射機2 基は撤去された。 2000年夏までにR-44の「ウラーン」コンプレックスは撤去され、大型対潜艦スメートリヴイに移設された。これが、ロシア艦艇で3M24「ウラーン」を装備する2番目の艦艇となった。しかし、2002年には3M24「ウラーン」コンプレックスはスメートリヴイから撤去され、R-44に戻された。スメートリヴイでは合わせて24 発の「ウラーン」ミサイルが試射されたとされる。R-44に戻された3M24「ウラーン」コンプレックスは2003年には基部を残して撤去され、それ以降R-44は対艦ミサイルを搭載しない状態で現役についている。3M24「ウラーン」ミサイルは、結局ロシア海軍ではごく一部の艦艇にしか採用されず、主としてインドや東ドイツなどの海外艦艇に採用された。 R-44では、もうひとつ新しい装備の試験が行われた。AK-630M1-2「ローイ」と呼ばれる近接防御システムがそれである。「ローイ」("Рой")とはロシア語で蜂などの「群れ」を意味する単語で、無数の弾丸を発射するこの兵器のイメージから名付けられた。 AK-630M1-2「ローイ」は従来のAK-630Mの代替兵器として開発された防空システムで、重量は2.5 t、2 門装備する30 mm機関砲AO-18Kの発射速度は毎分10000 発、弾数は4000 発とされている。なお、従来のAK-630Mの発射速度は毎分5000 発程度、弾数は1000 発である。操作には2 名を要した。 1987年にこのAK-630M1-2「ローイ」システムがR-44に装備され、試験が開始された。代わりに、従来のAK-630Mは撤去されている。また、新システムの搭載に伴い、射撃管制レーダーも従来のMR-123「ヴィーンペル」からMR-123-02に変更されている。 1989年夏に実施された試験では、AK-630M1-2「ローイ」は優秀な成績を収めた。試験には、西側の標準的艦対艦ミサイル「ハープーン」に見立てた標的機La-17Kと対戦車ミサイル9M17「ファラーンガ2」が用いられた。AK-630M1-2「ローイ」は、上空10 m付近で「ファラーンガ2」を撃墜することに成功した。迎撃に要した弾数はわずか200 発であった。 しかし、最終的にロシア海軍で採用されたのは3M87「コールチク」で、AK-630M1-2「ローイ」は結局量産には至らずわずかにR-44で試験されたに留まった。R-44からも年内に撤去されている。 その後、AK-630M1-2「ローイ」は1990年代後半から輸出向けに販売が試みられていた。また、2007年初夏にはステルス仕様の砲塔を持った「ドゥエート」(Дуэт)も公開されている。しかし、ロシア海軍で採用されたの輸出型「カシュターン」も販売しており、今後海外でもAK-630M1-2「ローイ」が採用される見込みは限りなく低いと見られている。 この他、1996年には新しい射撃管制システムSP-521「ラークルス」(опто-электронная СУ СП-521 "Ракурс")を搭載して洋上試験を行っている。「ラークルス」とは、遠近法における短縮法のことで、「ラクールス」とも発音される。SP-521「ラークルス」は、自動制御で目標を追尾・攻撃できるシステムであった。このシステムの試験は1998年初頭には終了した。
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