料金政策の推移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 22:32 UTC 版)
公社発足当初は均一料金制を採用した。均一料金制を採用したのは料金区分が簡素であることから、料金徴収の時間節約および本線流出時の料金徴収がないため(16号一宮線を除く)大量の都市交通を滞りなく円滑に処理できるからである。さらに、利用距離が長いほど割安となることから、長距離交通(市内外との流出入交通)の高速道路への利用を促し、短距離交通との質的分離を促進させ一般道路の混雑を和らげる意味がある。その一方で尾北線(11号小牧線と16号一宮線の料金圏)を別料金体系としたのは2つの意図によった。1つ目は尾北線の利用特性として、尾北線のみの短区間利用者が尾北線全体の約半数と高い比率を占めることから、短区間利用者の金銭的負担を軽減するためである。2つ目は小牧、一宮方面から三重県方面に抜ける通過交通を名二環へ受け流し、都心部へ余計な交通を入れないためである(つまり渋滞回避につながる)。それは尾北線と名二環を相互利用した場合の料金(370円+510円=880円)を、尾北線と名古屋線を直通した場合(370円+780円=1,150円)よりも割安にすることで、通過交通の名二環利用を促す狙いがある。なお、名古屋線が名二環よりも割高に設定されているのはこうした事情からであった。 なお、均一料金制は不公平感があることから、公社としては首都高速・阪神高速で採用された利用距離に応じた料金制度を名古屋高速でも導入するか否かの検証を実施することになった。その結果として、既に実施中のETC末端特定区間割引を拡大、末端部と1つ目の出口(570円)に加え、新たに2つ目の出口間で670円を設定し、これに正規の770円を加えた3段階式料金体系としてETC搭載車限定で2014年(平成26年)7月1日から1年間限定で社会実験を行った。元を正せば、均一料金制を採用する要因の一つが係員による料金収受業務の円滑化に資することであったため、その後のETCの利用率が9割まで向上すると均一料金制度にこだわる必要性が薄まり、公社としてもこれを距離制度再考の機会と捉え、今後は実験結果を踏まえて制度の在り方を煮詰めるとした。 こうした料金再考を踏まえ、2021年(令和3年)5月1日から名古屋中京圏の高速料金体系の整理・統一によって高速料金が見直され、ETC車限定で距離別料金制度(普通車は0.6km以下290円(下限) - 32.1km以上1320円(上限))の導入を開始するに至った。なお、非ETC車(現金支払い等)は、利用する入口から最も遠い出口までの距離に応じた料金となる。これにより均一性による料金の不合理性が改善され、短距離でも都市高速を利用する車が増えることで交通量が適正化し、名古屋市内の渋滞緩和が期待できると専門家は分析しているが、一方で名古屋高速道路は今後、名古屋駅近辺に新たな出入口を設置することと、名岐道路の一宮以北の延伸が計画される中で、実質的に値上げとなる今回の制度改定はそうした計画の財源を確保する狙いがあるとも目されている。
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