公平感
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/08 05:15 UTC 版)
しかし、現実に「公平」という概念が適用されるのは、具体的卑近な事例だけではない。社会学の分野では、例えば「公平判断は、当該社会における社会的資源や生活機会を所与としたときに、評価者が正しいと考える配分原理をもとに生じるであろう仮想的配分を基準にして、現実の配分状況(の認知)がどれだけ逸脱しているか、という評価である」といった定義がなされることがある。(1)人間の社会的資源や生活機会はリンゴやカステラの分配にとどまるものではないことは自明であろうが、(2)評価者が正しいと考える原理に基づく配分結果と現実の配分状況との異なり具合を評価するということは、「公平かどうか」の判断が評価者によって異なる、すなわち評価者の主観(依拠する原理)次第で「公平な結果」が異なってくることを示唆している。(3)そして、人間の社会的資源や生活機会には抽象的な存在(物ではなく事柄)も多数含まれ、その配分自体が評価することの困難な場合も、少なくない。(4)したがって、人によって「公平」が異なることが十分に考えられる。 その場合、客観的巨視的な「公平」とは別に、分配に参加する人々の「公平感」を失わないような分配方法を重視することがある。人によって異なる「正しいと感じることのできる配分原理」にどうやってあてはまる分配方法にするのか、他に分配対象者がいても「自分の一人取りが正しい」という人もいるかもしれず、運営が困難な局面も出てくることになる。 公平感については、社会全体における資源(人々の欲求の対象)や(その利用)機会の分布、あるいはその配分原理の正当性を、どう感じ、解釈するかとかかわるものとも言え、社会全体の中で特定の人が得ている資源や機会に対して抱く「満足感」と対比される概念であると言うことができる。
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