放電によるトラブル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 14:50 UTC 版)
EMIは言わば回路・線路から外へしみ出るエネルギーであるが、寄生容量とは、これらのエネルギーを充放電するキャパシター(特にPVC電源コードは大きな寄生容量がある。例えば平行2線の1.5スケは0.153マイクロF/Km)であり、自然に放電するよりもチャージ量が多ければ通電時間と共に帯電が進むことになる。長い電源リールには大きな寄生容量がある為に、機器と併用した場合、突入電流も大きくなる。もちろん機能接地が有効(接地された金属シャーシ、Nの継続的な接地)である場合、寄生容量は充電されにくい。しかし機能接地がなく、大きなエネルギーが寄生容量(機能接地のない平滑コンデンサを含む)に充電されてしまうと、なんらかのきっかけ(電源スイッチの開閉など)でそれらが放電した際、機器に誤動作(例えば、勝手に再起動したり、制御できず最大出力が連続したり、OFFしている機器が勝手に動き出したり、突然出力が半減するなど)が発生したり、放電規模によっては絶縁破壊を伴う大きなトラブルが発生する。これは素子の破壊や接点の焼損をもたらすが、最悪の場合、電気火災を引き起こすことがある。また、帯電している金属部に人体が触れることで感電するケースもある。尚、この放電によるトラブルはナノ秒からマイクロ秒でと極めて短時間で発生する為、漏電遮断器、過電流遮断器、ヒューズ、専用設計の安全回路など、安全を守るための各機構は通常動作しない。このトラブルは、欧米でオープンニュートラルあるいはリバースポラリティーとして説明されることがある。放電時のサージ電流やスパイク電圧はdI/dt、dV/dtで表すことができ、放電する時間が短ければ短いほど大きな数値になる。トラブルを避けるために、英国、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港ではACプラグとコンセント、スイッチ、配線色に関する各電気規格を厳格に守られれており、プラグの極性を含めて間違えてはいけないことがエンジニアに周知されている。その一方、ワンチップコンピュータが組み込まれている機器、スイッチング電源を使用する機器、あるいはスイッチング制御される大出力機器は出荷台数が増えており、単相機器の放電・発火トラブルは世界的に増加傾向にある。寄生容量に帯電した電荷が放電する現象はESDと呼ばれる。
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