絶縁破壊
絶縁破壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/28 04:34 UTC 版)
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絶縁破壊(ぜつえんはかい、英語: Electrical breakdown)とは、絶縁体に加わる電場の強さがある値を超えた時、電気抵抗が急激に低下し大電流が流れることをいう[1]。落雷は、雲と地面の間に大きな電位差がある時、その間にある空気に加わる電場の強さが、閾値(約300万V/m)を超え、絶縁破壊が発生することによって起こる。

電線路やモーターなどの電気機器においては、短絡(ショート)を防ぐために導体間に一定の空間を確保したり、絶縁被覆を行う。しかし、雷サージや配線ミスなどにより、設計された耐電圧(絶縁耐力)を超える高い電圧が加わると、導体間に放電現象が起こって想定外の導通が起こる。
MOS(金属-酸化物-半導体)半導体素子は非常に薄い酸化被膜を絶縁層とするが、この層は人体に帯電する程度の微弱な静電気でも容易に破壊されるため、開発当初はその取り扱いに注意を要した。その後、半導体素子内部に保護ダイオードを形成することで、電荷を逃がす構造へ改良が進み、日常的な静電気による電子回路の故障は低減している。
絶縁破壊の2種類の型
絶縁破壊には2つの型があり、電気的絶縁破壊は絶縁物中の電子が電界により加速されて原子を衝突イオン化する事により起こる事が知られている。[2] もう一つの型は熱的絶縁破壊となり、ある温度を境にして破壊モードがかわる事が知られている。[3]プリント配線板の熱的絶縁破壊についは、電子素子の故障などによってプリント配線板が熱分解温度以上に加熱された場合に発生する事が、日産自動車の岸らにより示唆されている。[4]
出典
- ^ 第2版,日本大百科全書(ニッポニカ),世界大百科事典内言及, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,世界大百科事典. “絶縁破壊(ぜつえんはかい)とは”. コトバンク. 2020年7月25日閲覧。
- ^ A von Hippel:Zeits. f. Physik 75, 145 (1932)
- ^ 神谷 健児, 松山 英太郎:個体絶縁物の絶縁破壊理論, 山口大学工学部学報 9巻1号
- ^ 岸 文人, 成田 隼翼, 大頭 歩, 堀川 敦:プリント配線板における熱的絶縁破壊現象の調査, 第39回エレクトロ二クス実装学会春季講演大会予稿集 11A1-2(2025)
関連項目
絶縁破壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 21:27 UTC 版)
絶縁体は絶縁破壊という現象で損傷を受ける。絶縁物に電界を印加したとき、その物体の(バンドギャップエネルギーに比例する)しきい値を超えると、その絶縁体は電気抵抗を伴う抵抗器となり、破壊的な結果を伴うこともある。絶縁破壊の際、自由な電荷担体が強い電場によって加速され、それが衝突した原子をイオン化して電子を飛び出させるのに十分な速度となる。そのようにして自由になった電子とイオンも加速し別の原子に衝突するので、さらに電荷担体が生み出されるという連鎖反応(電子雪崩)が起きる。こうして絶縁体は瞬時に電荷担体で満たされ、電気抵抗値が低下する。空気における絶縁破壊はコロナ放電やアーク放電といった放電現象を伴う。 同様の絶縁破壊は任意の絶縁体に起こりうる。真空でも放電現象は起きるが、それは金属電極から電荷が放出されることによるもので、真空自体が電荷を生み出しているわけではない。
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