こうじょりつ(控除率)
控除率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/04 05:49 UTC 版)
控除率(こうじょりつ)
- 税制における控除(率)とは、税金などで、ある一定の条件を満たすことで本来の勘定に入れなくてよい値(割合)。
- 賭博(ギャンブル)における控除率とは、ある賭けに対してどれだけの手数料をとられるかを示す割合:ここで記述する。
ギャンブルにおける控除率とは、ある賭けに対してどれだけの手数料をとられるかを示す割合。ハウスエッジとも呼ぶ。似た言葉に寺銭(てらせん)があり、これは割合だけでなく一定の手数料、参加料も示す。
控除率に対して、ある賭けに対していくら払い戻されるかの割合を還元率(かんげんりつ)と呼ぶことがある。
概要
控除率が高いことは、それだけ胴元に手数料を取られ損することを示し、低いことは、参加者にとって相対的に有利であることを示す。それでも0%より大きければ、長期的なプレイにおいて勝つことは難しい。
控除率は、稀にマイナスになることもある。これは、プレイすればするほど儲かるという一見おかしな状況であるが、いくつかの条件を満たせば起こりうる。
- 顧客を集める宣伝手段もしくはサービスとして。小額のスロットマシンや、日本ではパチンコ店の集客イベントにおいて行われることが多い。
- 特に複雑な技量がいるため、期待値通りにプレイすることに熟練が必要なもの。ブラックジャック、いくつかのビデオポーカーの機種などが挙げられる。
- 理論上は得られるものの、当選確率が非常に低いもの。具体的には、ラスベガス(正確にはアメリカ合衆国ネバダ州の他エリアにあるカジノを含む)に設置されたスロットマシン「MEGABUCKS」がある。このマシンは、多くのカジノに渡って徐々にジャックポット金額を積み立てるシステム(プログレッシブジャックポット)を採っており、長期にわたって獲得者がでなかったある一時期に、期待値が100%を超える。
- ブックメーカー方式で配当を算定するもの、例えばスポーツブックなど。
控除率の算出
ヨーロピアンスタイルのルーレットの1目賭けを例にあげる。このゲームは、1〜36,0の37通りのうちランダムに選ばれる一つの数を当てるゲームであり、当たれば36倍(35倍+掛け金)になって戻ってくる。
つまりこのゲームは、一回の賭けに対して97.3%(=36/37)の期待値を持つ。期待値を1から引いたもの、2.7%(=1/37)が控除率である。ここでこの期待値をプレイ効率と呼ぶこともある。
控除率の実際
以下に主なカジノ、ゲーム、公営競技などにおける控除率を挙げる。プレイの方法や技量が影響するゲームにおいては、最大の期待値を得られうるベットを行い、失敗の無い完全なプレーを行うことを前提とする。
- ビンゴに似た数字を当てるゲームの一つ。
- 日本の公営競技(競馬、競輪、ボートレース、オートレース) - 単勝で20〜30%前後
- 原則として日本中央競馬会・地方競馬が賭式により20〜30%、オートレースが30%、競輪・競艇が25%。ただしJRAプレミアムのように、特定のレースのみ控除率を下げる場合もある。なお中央競馬では、1950年12月まで38%という高率の時代があった[1]。
- 控除率が換金率との兼ね合いでハウス側の意図で変動させられる他(景品交換率の設定に加え、短期的には釘調整や設定変更による調整が可能)、プレイヤーの技術介入による控除率の変動が大きいことが特徴。新規開店などで客寄せのため、または致命的な攻略法発覚により、100 - 200割(-1000〜-2000%)などといった破格の営業がなされる場合もある一方で、ほとんど還元しない営業も可能である。大阪商業大学学長の谷岡一郎は、業界の営業全体における平均的な控除率を10〜15%と分析している。
- 丁半 - 5% (俗に五分デラなどとよばれた)
- スロットマシン - 3〜15%
- 様々。ここでは一般的と思われる値を挙げた。
- アメリカンスタイルルーレット - 5.2%
- ヨーロピアンスタイルと違い、1〜36,0,00というレイアウトを持つ。
- ヨーロピアンルーレット - 2.7%
- 前述のアメリカンルーレットと違い、00が存在せず0のみが存在するため、ハウスエッジは約半分となる。
- カリビアンスタッドポーカー - 5%
- ディーラーと対決するスタイルのポーカーの一変種。
- バカラ - 1〜14%前後
- クラップス - 0〜16.6%程度
- 賭ける場所によって大幅に異なる。
- ビデオポーカー - 0%〜
- 台の種類、配当金の設定による。Jack or Better 9/7は期待値100%超(つまり控除率マイナス)で好評を博した。
- ブラックジャック - -1〜3%
- ルールによって1〜3%程度の変動がある。一般的なルールをベーシックストラテジでプレイすると1%程度。カウンティングを行えばさらに1 - 2%程度下降させうる。
- 賭け麻雀 - 5〜200%
- 収支がゲーム終了までわからないため控除率の計算が非常に難しいが、レートに関わらずゲーム代(控除額)はほとんど変動しないため、一般的にレートが上がるほど控除率は低く、レートが下がるほど控除率は高くなる。1000点20円以下の低レートでは、控除率が100%を超える(ゲームの勝者でも収支がマイナスになるほど)ことすらある。
脚注
- ^ 「馬券の控除率引き下げ 二十三日の中山から」『日本経済新聞』昭和25年12月13日3面
控除率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:26 UTC 版)
「投票券 (公営競技)」の記事における「控除率」の解説
各競技における控除率は以下の通りである(後述の「特払い」はこの限りではない)。 競艇・競輪:25% オートレース:30%(2012年途中までは25%) 競馬:改正競馬法(2012年成立)が施行された2014年4月1日以降、各主催者がそれぞれの裁量により、投票法(詳細は「投票法の種類」節を参照)ごとに異なる控除率を設定している(以下の表を参照)。競馬法第8条・第22条により、控除率の上限は30%、下限は「農林水産大臣が定める率」となっている。2014年途中までの制度では、支持率によって変動する方式が採用されており、18%から26.2%(端数切捨てにもよるが、およそ払戻が300円を越えると25%、2000円を越えると26%以上となる。中央競馬の単勝・複勝はこれから5%引き)となっていた。計算式は具体的な払戻計算式を知りたいのですが?(日本中央競馬会)を参照。 競馬主催者別・投票法別の控除率主催者投票法備考単勝複勝ワイド枠連(枠複)馬連(馬複)枠単馬単3連複3連単重勝式JRA(中央競馬) 20% 22.5% - 25% 27.5% 30% 2014年6月7日より変更 北海道 20% 25% - 25% 30% 2014年度当初(4月23日)より変更重勝式は2014年8月19日より導入 兵庫 20% 25% 22.5% - 25% 27.5% 30% 2014年度当初からはJRAと同一2015年度より再変更 佐賀 20% 25% - 25% 27.5% 30% 2014年度当初より変更 ばんえい岩手浦和船橋大井川崎金沢笠松名古屋高知 20% 25% 27.5% 30% 2014年度当初より変更(大井は2014年4月20日より変更)主催者によって存在しない投票法あり(詳細は各記事参照) 高知の3連単は最終競走に限り23%(2014年6月7日より) 地方競馬についてまとめると、1頭を対象とする馬券が20%、2頭対象の馬券が25%、3頭対象の馬券が27.5%である。例外は北海道の3頭対象馬券(他場より2.5%不利)、ワイド(5%有利)、兵庫の馬連、佐賀の3連複(それぞれ2.5%有利)である。
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