接着剤の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 12:14 UTC 版)
接着剤の歴史は人間が道具を使い始めた頃に始まった。石器時代には鏃を木の枝や竹に固定するためにアスファルトが使われた。また、漆を使って修理された約6000年前の土器も見つかっている。 石油資源が豊富な中近東ではアスファルトが壁画制作や建築に利用された。古代のバビロニアでは彫像の眼を固定するためにアスファルトが使われた。旧約聖書にはバベルの塔の煉瓦接着や、ノアの方舟の防水処理用にアスファルトが使われたと書かれている。 また、狩猟が盛んなエジプト、中国、ヨーロッパなどでは獣類の皮や骨を煮出したにかわが利用された。古代エジプトではにかわが棺や家具・パピルスなどを接着するために広く使われていた。12世紀頃のモンゴルで作られた高性能の弓は、動物の骨を薄く削った板を複数枚重ねてにかわで接着したものである。 肉食の習慣の少なかった日本などでは、漆(ウルシの樹液)や、米などを原料とするデンプンのりが主に利用された。古代から使われていた漆喰は石垣や煉瓦建築においてよく用いられ、デンプンのりは寝殿造で使われた襖や障子を作る時に利用されてきた。 接着剤の大量生産は、18世紀のオランダに建設されたにかわ製造工場によって始まった。それ以後、天然ゴム・デンプン・カゼインなどの天然系接着剤が各国で製造され始めた。 20世紀に入ると合成系接着剤が続々と登場する。1915年に、初の合成樹脂のひとつフェノール樹脂を積層板製造時に接着剤として使用された事を皮切りに、化学工業の発展に伴って接着剤も開発された。1940年前後にはエポキシ樹脂系接着剤が金属接合に使われ始めた。以後、様々な種類の接着剤がいろいろな用途に使われるようになった。
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