排水監視の徹底と新たな公害防止体制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:30 UTC 版)
「水質汚濁防止法」の記事における「排水監視の徹底と新たな公害防止体制」の解説
平成17年3月環境省は、JFEスチール東日本製鉄所と昭和電工千葉事業所の2社の水濁法違反事件発生を受け、都道府県と水質汚濁防止法上の政令市に対し、水濁法に基づく事業所への立入り検査を行う場合の監視指導徹底を図るよう通知 した。これら2社は、長期間にわたり違法排水を流すとともに、排水分析データの虚偽記載・報告を行い、悪質な公害の隠蔽工作を行っていた。今回の通知ではこれらの企業犯罪を踏まえ、以下の点を確認することとした。複数の人間が測定結果をチェックする体制になっているか 排出水測定結果の原簿と届け出値の差異 自動計測器指示値と届け出値の差異 JFEスチール東日本製鉄所で見られたようなスラグ堆積場浸出水管理不備の有無 平成18年4月環境省は、JFEスチール・昭和電工の悪質な水濁法違反を受け、自治体が水質汚濁防止法に基づく立入検査を行う際の参考となるように、基本的な考え方や具体的な留意事項をまとめた「水質汚濁防止法に基づく立入検査マニュアル策定の手引き」を作成し公表 した。手引きの内容は、平成17年3月の立入検査の留意点通知に対する対応、また立入検査計画作成時・検査の事前準備時・検査実施時・検査後の各段階の業務の基本的な考え方・留意事項に加え、携行品・書類上で確認すべき事項・特定施設・排水処理施設・排水口・排水経路のチェックポイントが具体的に示されている。 環境省と経済産業省は、JFEスチール・昭和電工など の企業により不適正な公害防止の実態が判明したことや、企業の社会的責任(CSR)の関心が高まっている現状を踏まえ、平成18年度に「環境管理における公害防止体制の整備の在り方に関する検討会」を新たに立ち上げ、新たな公害防止体制の方向性を検討 した。 このような事業者の公害防止管理体制に綻びが生じている事例がみられたため、環境省は平成21年8月19日に中央環境審議会に対して、「今後の効果的な公害防止の取組促進方策の在り方について」諮問し、平成22年1月29日に答申がなされた。この答申において、『水質事故に対する迅速な対応を推進するとともに適正に事故原因を究明し再発防止を図るため、事業場における事故について「水質汚濁防止法」の事故時の措置の対象物質・施設を拡大することが必要』とされた。この答申を受け、水質汚濁防止法の改正が行われ、事業者の責務規定が平成22年8月10日に施行、排出水等の測定結果の改ざん等に対する罰則の創設及び事故時の措置の対象の追加が平成23年4月1日に施行された。
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