手法のバリエーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 23:18 UTC 版)
ムストの糖度の調整を目的にした補糖の手法はいくつか存在する。一般的な補糖のプロセスでは、サトウキビ糖が最も多用されるが、醸造家によってはビーツ糖やコーンシロップのほうが望ましいと考える者もいる。ブラウンシュガーの添加は多くのワイン生産地域で適法ではない。補糖が全く認められていない地域であっても、ブドウの濃縮果汁を加えることが可能な場合もある。ムストに砂糖が加えられると、酵素反応により自然にスクロース分子はグルコースとフルクトースに分解される。これらの分子がイースト菌で発酵されてアルコールと二酸化炭素に変わる。 温暖な地域では、むしろ過熟してしまうことが問題視される。そのため補糖とは逆に、補水(水で薄めること)や補酸が行われることがある。このような手法はカリフォルニアのような地域で用いられることがあるが、ムストに通常の醸造を行った場合に過剰となる糖分が含まれるときに、濃度を下げるために水分を加えることがあるのである。補酸を行う場合は酒石酸が添加される。これにより、熟したブドウに元々含まれる糖度が高く酸度が低いときにバランスを取ることができる。 シャンパンの生産では、醸造後、砂糖やワイン、場合によってはブランデーが計量の上で添加され、その後瓶詰めされる。この過程はドサージュ(仏:dosage)と呼ばれる。他方、シャプタリザシオンは発酵の前に行われるものを指す。シャンパンの生産者も、ムストに砂糖を添加する通常の意味での補糖(シャプタリザシオン)を採用する場合がある。 ワインに関わる記者のなかには、補糖によってワイン生産者は完熟していないブドウを使い収量を過剰に上げることで、質を犠牲に生産量を増やしていると主張する者もいる。逆に、生産者のなかには技術の進歩を積極的に利用する者もいる。例えば、逆浸透膜を用いて未発酵の果汁から水分を取り除くことで、生産量を減らす代わりに糖度を上げるような技術である。
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