戦闘機以外のパラサイト機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 03:01 UTC 版)
「パラサイト・ファイター」の記事における「戦闘機以外のパラサイト機」の解説
爆撃機護衛としてのパラサイト機は結局なくなったが、それ以外でのパラサイト機は現在も限定的ではあるが使われている。 多くは、自力で離陸する能力を持たない機体を離陸させる手段としてのパラサイト機である。 X-15などの実験機や空中発射ロケット、使い捨ての標的機などはB-52などの大型機の翼下や胴体下に取り付けられて離陸し、ある程度の高度で切り離されてから自機のエンジンをスタートさせる。音速を最初に突破したベルX-1も、B-29の翼下に取り付けられ、空中発射する方式をとっていた(ベルX-2も同じ)。また、スペースシャトルがまだ大気圏内のみで滑空実験を行っていたときは、ボーイング747の背中にオービターを載せ、そこから切り離して母機は急降下し、子機となるオービターは滑空している。 スペースシップワンとその母機ホワイト・ナイトも同様の方式だが、これは自力離陸能力を持たせなければ子機が軽量になり、母機から発射させれば高度も稼げるため、子機に搭載する燃料を抑えるためでもある。スペースシップワンは宇宙往還機とはいえ弾道軌道(ごく平たく言えば、直上へ打ち上げた銃弾がどこかで速度0になり、以降は落ちてくる軌道)であるため、第一宇宙速度に必要なほどの莫大な運動エネルギーを必要とせず、母機から切り離される高度でもそれなりのエネルギーを節約できる。 なお、スペースシャトルの発展型の案として、子機も母機も再使用可能な宇宙往還機の構想が出たこともある。スペースシャトルで再使用されるのはオービターとブースターだけで外部燃料タンクは使い捨てであり、ブースターが再使用されると言ってもかなり無理がある。これを2段式のシャトルにして、1段目をある程度の高度まで運び、子機に速度を与えるブースター、2段目を低軌道まで行くシャトルにする案である。 ただ、これはまだシャトル開発が熱気と希望を持っていた頃の案であって、チャレンジャー号爆発事故で急速にシャトル熱は冷め、巨大なオービター(空虚重量だけで78トン。これに上昇時の推進剤と宇宙まで持っていく荷物の重さが加わる)と、さらに巨大なブースターを作るためには莫大な開発費と制作費が必要になること、再使用型宇宙往還機の有用性(安全性、コストなど)に対する疑問視などが要因となり現実的な案は出ていない。
※この「戦闘機以外のパラサイト機」の解説は、「パラサイト・ファイター」の解説の一部です。
「戦闘機以外のパラサイト機」を含む「パラサイト・ファイター」の記事については、「パラサイト・ファイター」の概要を参照ください。
- 戦闘機以外のパラサイト機のページへのリンク