成立と権限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 15:09 UTC 版)
スコットランド議会は法を制定し、限られた範囲で税金を変更する権限を持つ。また、スコットランド政府を監督するというもう1つの役割も有する。 スコットランド議会の機能と役割を規定し、その立法権限の範囲を定めているのは、イギリス議会通過後の1998年11月19日にエリザベス2世の女王裁可を得た「1998年スコットランド法」である。スコットランドにおける最高の立法権限は、議会主権のために、ウェストミンスターのイギリス議会が保持し続けるが、スコットランド法の条件により、イギリス議会はスコットランドにおける内政に関する責任の一部を、新しく直接選挙されるスコットランド議会に委譲することになった。このような事項は「委譲事項」(devolved matters) と呼ばれ、教育、健康、農業、司法などが含まれる。こうした事項について、スコットランド法ではスコットランド議会が議員立法を通すことを可能としている。一方で、ある程度の国内事項と外交のすべてに関しては、ウェストミンスターのイギリス議会が権限を保持している(留保事項)。 委譲事項は、スコットランド法の第5表で留保事項として明示的に示されているもの以外すべてで、農業、漁業、林業、経済開発、教育、環境、食品規格、健康、内務、スコットランド法(司法)、警察、消防、地方自治、スポーツ、芸術、運輸、訓練、観光、研究、統計、社会福祉などがある。スコットランド議会はまた、所得税を1ポンド当たり3ペンスまで変更する権限を持っている。 スコットランド議会の立法権限の範囲外にある事項は、留保事項となっている。留保事項には、人工妊娠中絶、放送政策、公務員、イギリス製品およびサービスの共通市場、憲法、電力、石炭、石油、ガス、原子力、防衛および国家安全保障、麻薬政策、雇用、外交政策、ヨーロッパ関係、運輸安全規制に関する大半の事項、宝くじ、国境警備、社会保障、イギリスの財務・経済・通貨システムの安定が含まれる。留保事項に関する立法権限はウェストミンスターのイギリス議会にあり、また行政権限もイギリス政府とその大臣にある。 スコットランド議会においては、議員ではない一般人が議会に参加する方法が2つあり、これはイギリス議会にはない制度である。1つは公衆請願であり、もう1つは関連する一般人が参加・出席する政策事項に関する会議における超党派グループである。スコットランド議会は、イギリス議会の留保事項も含めていかなることでも議論することはできるが、立法権限外にある問題については立法することができない。
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