懐疑的意見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 16:06 UTC 版)
ハイール湖が活火山の上に位置していることから、懐疑的な論者は多くの「怪物」はおそらく水面下の振動が送り出した、沸騰した湖面に生じる奔流が原因であろうと指摘している。近い距離からの目撃情報については説明がなされていない。僻地にあるため、湖を訪れた者は少なく、それ以前には1940年に「2匹の大きな黒い動物」を目撃した、北極圏飛行でソ連邦英雄となったイヴァン・チェルヴィチニー(Ivan Cherevichny)と、800 - 1000mの高度から2匹の大きな動物を見たという北極航路の操舵手だったワレンチン・イワノヴィッチ・アクラトフ(Valentin Ivanovych Akkuratov)くらいしかない。二人は好奇心から50mにまで降下して動物を観察したが、飛行機の騒音が動物を驚かせたため、水中にもぐってしまった。 2008年にイギリスの古生物学者で科学ライターであるダレン・ナイシュは以下の点を指摘した。 グラッドキークの名はシベリアの湖沼学・地形学・生物学の文献にはまったく出てこない。 ハイール湖は厚さ50 - 60mの永久凍土層の上にあり、深さは7mしかなく、巨大な生物が中で見つかることは期待できそうにない。 ルコスエフはその動物を生き延びたイクチオサウルスだと推定しており、これはプレシオサウルスや水棲哺乳類だとする主張とは大きく食い違う。 その上でナイシュは、未確認動物学に関する著作で知られるカール・シューカー(英語版)がイギリスの雑誌『フォーティアン・タイムズ』(Fortean Times)に発表した文章で次のように記したことを紹介した。 2007年に「コムソモリスカヤ・プラウダ」に掲載された記事によると、グラッドキークは科学者ですらなく、調査の補助に雇われた出稼ぎ労働者に過ぎなかった。さらに、グラッドキークは怪物にまつわる話のすべてが創作であることを認めた(「自分と友人を楽しませるため、もしくは仕事をさぼる口実として」だとコムソモリスカヤ・プラウダには記されていた)。また、「湖には魚は住まず、鳥も飛来せず、地元民が昔から怪物を目撃していた」と主張されていたことはすべて誤りだった。 ナイシュは、「個人的にはこの怪物の信憑性はほぼ完全に失われたように思う」と述べている。
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