性染色体モノソミー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 05:10 UTC 版)
性染色体モノソミーについては、常染色体と異なり、生存に欠かせない遺伝子を持つX染色体のモノソミー(XO、ターナー症候群)は生存可能であるが、Y染色体のモノソミー(YO)は致死であり、受精後まもなく死ぬ(同じ理由でYYやOO(性染色体なし)なども致死)。また、XOも流産した胎児を調べると自然流産の10%ほどを占めることや、出生に至るのが2010年の調査で新生女児2500人に1人とXXYなど過剰な性染色体異常(500~600回の出産に1回くらい)に比べて極端に低いうえ、同じ45,Xの染色体でも流産するものとそうでないものがあり、この違いは分かっていない。流産の比率から逆算すると受精から誕生に至るのが0.5%程度という説もあり、あまりに低いことから「45,Xは本来致死で胎生期に正常細胞とのモザイク型だったものが成長中に正常細胞が失われ45,Xに見かけ上なったのではないか」という説もある。 ターナー症候群 正常女性核型がXXであるのに対し、X染色体のうち一本が完全または部分(短腕側)的に欠失している(X、XO)。 正常ではX染色体2本の対合による第一次減数分裂が起きずうまく卵子が作られないことによる卵巣の発育不全と、リンパ管の低形成が原因で体に浮腫が起きることで著しい低身長、不妊(モザイクでないターナー症候群の妊娠例は28例のみ報告されている)、第二次性徴の欠如、新生児期の足の浮腫、首周りの襞(翼状頸)が見られ、45,Xでは17%に心臓や大血管の奇形、20%に腎臓の奇形も見られる(短腕欠落などの型はこれより少ない)。これ自体が原因の知的障害はないので、低身長に小頭を伴う場合はターナー症候群ではない。 XXもしくはXYとモザイクを起こしていることがあり、前者は正常細胞との比率にもよるが普通の女性に近くなり月経も1/3程見られるようになる(なお45,X細胞が全身の20%以下の場合はターナー症候群の表現型がほぼみられなくなる)が、後者(XYYやXXYなどとのモザイクの場合もある)のX/XY混合性性腺異形成 (mixed gonadal dysgenesis)は細胞の比率によって典型的なターナー症候群から正常男性まで様々な表現型になる。 精神・知能面に関してはIQが同胞よりやや低いことがあるが正常の範囲。 子宮の未発達などの性未熟症に対しては、カウフマン療法を行う。 低身長に対しては、成長ホルモン補充療法の適応となる。
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