張良図沈金鞍とは? わかりやすく解説

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張良図沈金鞍

主名称: 張良図沈金鞍
指定番号 2569
枝番 00
指定年月日 1996.06.27(平成8.06.27)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 工芸品
ト書
員数 1背
時代区分 室町
年代
検索年代
解説文: 木製黒漆塗り居木【いぎ】先を除いて全面に布を着せ表面黒漆塗りとし、両輪内外沈金技法図様表している。その図様は、前輪【まえわ】外面山形に岩に腰を掛ける唐人物とその前に跪く男を、向かって右脚部楼閣、左に流れ掛かる表している。後輪【しずわ】では、山形中央の渡って駆け去ってゆく馬上老人と、手に沓【くつ】を持ってそれを追う男を、両脚山水楼閣表している。
 両輪表され図様は、『史記』巻五十五「留候世家」(留侯=張良)中の、在野兵法家黄石公こうせきこう】と、漢の高祖劉邦近臣として名高い張良説話黄石公誤って川に落とした沓を張良拾い上げてやったことが縁となり、後に兵法秘伝書授けられる)に基づくもので、老人黄石公もう一人の人物が張良表している。この説話幸若こうわか】の能楽張良」(室町時代成立)などに語られるように、兵法秘伝書伝授説の一環として中世流行をみた。
 雄偉鞍橋くらぼね】の形態一見すると鎌倉時代風であるが、居木中央幅が狭く、かつ居木裏の革通しの孔に沿って切目深く彫る点、また居木先の上部斜めに削ぐ点、両輪爪先部分幅広い点などに、鎌倉時代鞍橋特徴多少相違するところが認められる。これは当時一部行われていた復古鞍橋製作の一例理解され同種の例に文保元年一三一七)の年紀をもつ鞍橋を、鞍工伊勢家四代の貞誠【さだなり】(一四五二一四九四)が模作した旨の刻銘がある、兵庫県赤穂市大石神社所蔵の勝蒔絵鞍【かつむしまきえくら】(蒔絵は後補)が知られている。
 沈金浅く細い刻線描で、わが国初期沈金特徴一つだが、複雑な鞍橋曲面巧みに表現されている。わが国における沈金技法室町時代に始まるとされているが、本件本格的な沈金作品製作されるようになりつつあった時期数少ない沈金遺例であり、とくに中世鞍では唯一沈金による装飾施した作品として貴重である。



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