平成の多様化・令和の低迷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 04:50 UTC 版)
1992年には池宮彰一郎による『四十七人の刺客』が登場する。本作では吉良暗殺の「刺客」としての赤穂浪士を描き、たとえば吉良による浅野の苛めは赤穂浪士側のブラックプロパガンダとするなど情報戦としての側面も描かれた。1994年には同じく池宮彰一郎の『最後の忠臣蔵』が書かれ、討ち入り後の世界を舞台に寺坂吉右衛門や脱盟者などのその後を描いた。1997年、三枝成彰作曲のオペラ『忠臣蔵』では「赤穂義士の真の仇は浅野長矩」「大石が吉良義央に謝罪」といった前代未聞の演出を挿入した。 1999年には『新・忠臣蔵』を原作としたNHK大河ドラマ『元禄繚乱』が放送された。当該作品では従来の悪役俳優でなく、石坂浩二・宅麻伸・滝沢秀明といった二枚目やアイドルに吉良三代を演じさせた。TBS大型時代劇『大忠臣蔵』では女性的な池畑慎之介 (ピーター)が上杉綱憲に扮した。 2000年代以降は史実の研究が進んだことから従来の『仇討ち』を全面に打ち出した作品は少なくなり、様々な視点から描いた作品も登場するようになったが、忠臣蔵を題材にした映画・TVドラマ・小説の作品発表は全体的に減少傾向にあり、冬の風物詩としての姿を緩やかに消しつつある。架空戦記や歴史シミュレーションで知られる作家集団・霧島那智には『忍術忠臣蔵外伝』があり、歴史IFもの『忠臣蔵釣客伝』で長辻象平は、津軽家による救援で吉良の生存と赤穂義士の失敗を描く。 2013年にはハリウッドで忠臣蔵を換骨奪胎したファンタジー映画『47RONIN』が公開されたが、雑誌『バラエティ』は、「忠臣蔵が日本でなじみ深いものであるにも拘わらず、興行は芳しくないものである」と評した。宝塚歌劇『元禄バロックロック』では長い髪とロングブーツの「キラ」(花組娘役トップ・星風まどか)が登場する。また、毎年恒例だったテレビでの年末時代劇や長時間時代劇をはじめとする「忠臣蔵」制作・放送は近年、すっかり影を潜めている。
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