島の消失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 03:03 UTC 版)
2018年9月1日に北海道のオホーツク沿岸を訪れた『幻島図鑑』の著者清水浩史によると、ゴメ島や水かぶり岩および海馬島は海岸から目視できたが、エサンベ鼻北小島が存在するはずの場所に島影は見られず、付近の浜鬼志別漁港や浜猿払港で通りすがりの人に尋ねても島の存在を知らなかったという。この情報を清水が知人の朝日新聞の記者に伝えたことがきっかけで、10月31日の朝刊に記事が掲載され、同日のうちに他社のマスメディアにおいても報道された。 報道によると、10月上旬に地元住民から「見当たらなくなっている」と海上保安庁第1管区海上保安本部に情報が寄せられ、海上保安本部の担当者によれば、波や流氷による浸食を受け海上部分がなくなった可能性があるとしている。 昭和50年代頃には小さな島が存在していたと話す漁業者もおり、漁船で用いられるGPSシステムに表示されることから、島の存在を知らない漁業者は海中にある岩礁だと思って迂回していたという。「30数年〜40年くらい前」には「岩」が見えており、当時は海面から1mほどの高さで「3人くらい腰掛けられる程度」の大きさがあり、つるつるした滑りやすい岩肌だったという証言もある。 2019年5月20日から24日にかけて第1管区海上保安本部により、目視や水中音波探知機などを使った現地調査が行われた。当初は、島の一部に降りての調査も計画されていたが、足場が狭く危険と判断されたため、船上からの調査となった。同月28日の記者会見において、島が目視できなかったことが明らかにされた。最終的な調査結果は7月以降の公表となる。ただし観測が行われた際にも干潮時を含め水中に没していたため、低潮高地の基準を満たせず日本の領海は狭まる可能性が高いと報じられている。 9月24日、海上保安庁は調査の結果、「エサンベ鼻北小島は消失し、非常に水深の浅い浅瀬が存在する」と発表した。干潮時に陸地が水面上にある低潮高地と定義できれば領海の基準となるため、海上保安庁はさらに1年以上かけて調査を行う。
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