展示飛行チームとは? わかりやすく解説

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曲技飛行隊

(展示飛行チーム から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/06 03:30 UTC 版)

Utterly Butterly

曲技飛行隊(きょくぎひこうたい、:aerobatic team、エアロバティック・チーム)とは、航空機を用いて曲技飛行(芸術的な機動など)を行い、地上の観衆にアピールを行う航空隊のこと。

「アクロバット・チーム」「デモ・チーム」「ディスプレイ・チーム」とも呼ばれる。

航空ショーでのアトラクションの他、イベント会場上空を飛行することもある。

概要

航空史の初期においては、航空機は単純な飛行を行う能力しかなかった。航空機が発達するにつれて、その飛行能力は向上し、様々な運動を行えるようになった。例えば、急上昇や急降下、低空を高速で航過することなどである。様々な機動が行えるようになって、一部のパイロットはその機動・曲技飛行を地上の観衆に見せるようになった。運動性の高い戦闘機が考案された第一次世界大戦以降においては、各国で曲技飛行が行われるようになっていた。

現代の曲技飛行隊は、各国空軍陸軍における事実上の広報部隊として設置されているものが多い。練習機や戦闘機、ヘリコプター(一部の陸軍部隊)を用いて曲技飛行を行っている。軍の部隊の曲技飛行では、芸術的・アクロバティックな運動のほか、多数機による構成であることを生かした編隊機動を行っている。機体自体も広報目的であるため、迷彩塗装などではなく、国旗ナショナルカラーなどに由来した派手な塗装をしている。稀にではあるが、PRなどを兼ねて機体塗装のデザインが一般公募される事もある。

他に軍の曲芸飛行隊の目的としては、最先端操縦技術の開拓・練成、外国に対し自国パイロットの練度を示威する目的も付随するとする考え方もある。これらの事から、総じて軍の曲芸飛行隊においては、全組織を見渡しても特に優秀な技術を持つパイロットやその候補者と位置づけられている者が配属されるのが常套である。

正式な曲技飛行隊以外にも、部隊の有志によるデモ飛行隊や、基地に所属する部隊が航空祭などで臨時に編成する飛行隊もある。

軍以外にも興業業者などの曲技飛行隊があり、この場合、主にスポーツ機を利用した飛行展示を行っている。

曲技飛行

バーティカルキューピッド(ブルーインパルスの演目)

アメリカンスタイルと言われるショーアップされた曲技飛行においては、パイロットが航空機に乗り込む前から観衆にアピール(ウォークダウン、ウォークバック)を行っている。日本のブルーインパルス、アメリカのサンダーバーズブルーエンジェルスがこれに当てはまり、パイロット搭乗、エンジン始動、機体点検、離着陸後のタキシング等から演技に含まれており、離陸時においても、編隊離陸や単独機による急上昇離陸などが行われる。これに対し、ヨーロピアンスタイルのチームであるイタリアのフレッチェ・トリコローリ、イギリスのレッドアローズ、フランスのパトルイユ・ド・フランス等は地上での演技を行わず、展示飛行のみを実施している。

飛行展示中は、編隊や単独機での急上昇や急降下、横転、宙返りを始めとする様々な機動を行う。またスモークを用いて航跡を示し、絵や文字を描く課目もある。

曲技飛行隊の一覧

日本

ブルーインパルス
航空自衛隊
陸上自衛隊
全て航空祭等で臨時に編成される。一時期はカラースモークを使用していた。
海上自衛隊
  • ホワイトアローズ<機体:T-5> - 小月航空基地。臨時編成だったが2018年から公式の広報チームとなった。
  • 第1航空隊の展示飛行<機体:P-3C> - 鹿屋航空基地で開催される『エアーメモリアルinかのや』において機動飛行や低空でのエンジン停止・再始動実演を行っている(固有のチーム名は無し)
民間

北アメリカ

アメリカ

ブルーエンジェルス
サンダーバーズ
PACAF F-16 Demo Team
アメリカ海軍
アメリカ空軍
アメリカ軍の航空部隊では通常の航空機で機動飛行を披露する「デモチーム」が複数存在する。
民間
多数のチームがあるためWikipediaに項目があるチームのみ記載。

カナダ

スノーバーズ
CF-18 Demonstration Team(2009年仕様)
カナダ空軍

南アメリカ

ブラジル

ブラジル空軍

チリ

チリ空軍

東ヨーロッパ

ロシア

ルースキエ・ヴィーチャズィ
ロシア航空宇宙軍
民間

ウクライナ

ウクライナ空軍

ベラルーシ

ベラルーシ空軍

ポーランド

ポーランド空軍

クロアチア

クロアチア空軍

ラトビア

民間
  • バルチック・ビーズ <機体:L-39C

チェコ

民間
  • フライング・ブルズ・エアロバティックチーム<機体:Zlín Z-50XA42
レッドブルがスポンサーを務める。レッドブルのオーナーであるディートリヒ・マテシッツが所有する機体をデモ飛行させるフライング・ブルズとは別のチーム。

西ヨーロッパ

イギリス

レッドアローズ
イギリス陸軍
イギリス海軍
イギリス空軍
民間
元レッドアローズのベン・マーフィーがチームリーダーを勤める。

フランス

パトルイユ・ド・フランス
ブライトリング・ジェットチーム
ブライトリング・ウィングウォーカーズ
フランス空軍
民間
スイスのブライトリングのチームであるが本拠地はフランスであり、パイロットもパトルイユ・ド・フランス出身者が中心。
飛行中のボーイング・ステアマンの上部主翼に固定された女性がダンスを行う。

イタリア

フレッチェ・トリコローリ
イタリア空軍

スペイン

スペイン空軍
共に飛行教官が兼任。

ポルトガル

ポルトガル空軍

スイス

パトルイユ・スイス
スイス空軍

フィンランド

フィンランド空軍

スウェーデン

スカイキャッツ
スウェーデン空軍
環境に配慮しスモークを極力使わず編隊飛行の演目が中心。
民間
農業用の複葉機であるグラマン アグキャットから農薬散布用の機材を撤去した改造機を使用。
夕暮れ時に大量の花火を使う演目や、翼の間と上で女性ダンサーが踊る演目が特徴。

ベルギー

ベルギー空軍
  • レッドデビルズ <機体:SF-260

デンマーク

デンマーク空軍
  • ベビーブルー <機体:T-17>

ギリシャ

ギリシャ陸軍
ギリシャ空軍
  • ゼウス <機体:F-16>

オランダ

グラスホッパーズ(ドイツ・ラムシュタイン、1984年)
オランダ空軍
  • グラスホッパーズ <機体:SA 316

東アジア

中国大陸

中国人民解放軍空軍
  • 八一飛行表演隊(オーガスト・ファースト)<機体:J-10AY
  • 紅鷹表演飛行隊(レッドファルコン)<機体:JL-8
  • 天之翼表演飛行隊(スカイウイング)<機体:CJ-6

台湾

雷虎特技小組
台湾空軍

韓国

韓国空軍

東南アジア

フィリピン

フィリピン空軍
  • ブルーダイアモンズ <機体:F-5

シンガポール

シンガポール空軍

インドネシア

インドネシア空軍
  • ジュピター <機体:KT-1

マレーシア

マレーシア空軍
「魔法の剣」の意味。解散後、所属していたハリム・オスマンがリーダーとなり民間チームとして再出発[5][6]
  • スモーキー・バンディッツ<機体:MiG-29

タイ

タイ空軍
  • ブルーフェニックス<機体:PC-9

ブルネイ

ブルネイ空軍
  • アラプ・アラプ・フォーメーション<機体:PC-7

南アジア

インド

インド空軍
インド海軍

パキスタン

パキスタン空軍
  • シェルディルズ<機体:K-8>

西アジア

トルコ

トルコ空軍

ヨルダン

ヨルダン空軍

サウジアラビア

サウジアラビア空軍

アラブ首長国

アラブ首長国空軍
  • アル・フルサン<機体:MB-339

イスラエル

イスラエル航空宇宙軍

オセアニア

オーストラリア

オーストラリア空軍
  • ルーレッツ<機体:PC-21

ニュージーランド

ニュージーランド空軍
  • レッドチェッカーズ<機体:CT-4E
  • ブラックファルコンズ<機体:T-6C

アフリカ

エジプト

エジプト空軍
  • シルバースター<機体:K-8E

モロッコ

モロッコ空軍

南アフリカ

南アフリカ空軍
  • シルバーファルコンズ<機体:PC-7

脚注

関連項目


展示飛行チーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 17:23 UTC 版)

MiG-29 (航空機)」の記事における「展示飛行チーム」の解説

MiG-29使用する展示飛行チームとして、以下のようなものがある。 ロシア空軍の「ストリージ」(Стрижи)では、白・青・黒の特別色塗装したMiG-29 «9.12»とMiG-29UBを運用してきた。機体はのちにMiG-29 «9.13»とMiG-29UBに変更され塗色中国訪問にあわせ赤を基調とした白・赤・青の塗り分け変更された。ただし、このときの中国訪問実現しなかった。現在は、3番目のパターン採用している。塗色平面形で見ると、チーム名の「ストリーシュ」(стриж:「雨燕」)のシルエットとなっている。「ストリージ」は、現在も各地航空ショー活発な活動続けている。英語名は「スウィフツ」(Swifts)。その他、MiG-29OVTデモンストレーターも「ストリージ」の塗色準じた派手な塗色施されている。 ウクライナ空軍の「ウクライィーンスィキ・ソーコルィ」(Українські соколи:「ウクライナたち」)では、MiG-29 «9.13»とMiG-29UBが運用された。チーム主として国内でのアピール行っていたが、海外での飛行実績もある。機体は、ウクライナナショナルカラーである明るい青と黄を基調に白と赤とで彩ったものであった英語名は「ウクライニアン・ファルコンズ」(Ukrainian falcons)。 その他、スロバキア空軍でも臨時の展示飛行チームが編成されたことがあり、2機のMiG-29による実戦戦闘機速度生かした迫力ある飛行披露した

※この「展示飛行チーム」の解説は、「MiG-29 (航空機)」の解説の一部です。
「展示飛行チーム」を含む「MiG-29 (航空機)」の記事については、「MiG-29 (航空機)」の概要を参照ください。

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