学術書の出版
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 01:20 UTC 版)
学術出版の発行元としては、大別して大学出版局と商業出版社の2つがある。そのほか自費出版されるケースもある。 学術書出版は、商業出版や自費出版と異なる営為である。学術書は、自分の研究に商品としての価値を付与し、様々な読者が読む可能性が生まれる。また、書籍の体裁が確立されているため、図書館で購入されやすく、書誌情報として共有化されてアクセスしやすくなる。 一部の書籍を除き少部数で刊行されるため、一般書と比べると1冊の値段は高い傾向にある。これは、学術書のページの組版体裁が複雑であったり、特殊な記号(たとえば、ギリシャ文字、ラテン語、サンスクリット語、英語、多言語であることが多いこと、発音記号、論理記号など)を用いること、内容が難しい本文を読みやすく作るには欧文組や和欧混植についての基礎知識と高度な日本語組版知識と技能が必要であることによる。歴史的な研究なら、異体字、漢文、変体仮名などが入ることもある。 印刷代は少部数の場合には割増料金がかかり、製本代も割増料金がかかる。ひつじ書房の試算は以下の通りである。 部数と想定価格(300頁の場合)部数(部)価格(円)1001-1300 4,200 701-1000 6,000 501-0700 8,600 300-0500 15,000 上記の現状から、研究者から出版企画を依頼された場合、特に商業出版社においては、予想される実売部数とコスト面から出版を見送るケースもある。 一方で、日本学術振興会の助成金や大学のファンドといった刊行助成金を利用することで、出版を果たす場合がある。また、学術研究書出版制度を大学の使命と考え、積極的に推進する大学もある。早稲田大学は「大学の研究教育の内容やその水準を直接に体現する手段の一つであり、当該大学にとって枢要な使命を担うと位置づけ、その充実こそが、大学全体のアカデミック・ステイタスの維持・向上に直結する」と表明している。明治大学も「大学出版の意義はユニバーシティ・エクステンション、すなわち大学の知的資源を広く社会に開放することに尽きる」と述べている。
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