天敵、捕食者および競合者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 19:13 UTC 版)
「スズメバチ」の記事における「天敵、捕食者および競合者」の解説
スズメバチの天敵は捕食者として人間の他に野鳥、ニワトリやクマが挙げられる。またスズメバチを捕食する昆虫にオオカマキリ、オニヤンマなど大型のトンボ、クモ、ムシヒキアブ、シオヤアブ等があるが、これらの昆虫との関係については、捕食/被食双方の記録が存在する。ただし、スズメバチが捕食されるケースは多くはなく、またスズメバチを捕食した記録が多いオニヤンマ等の大型トンボも生息域が限られるため、自然下においてその場面を目撃する例は稀である。スズメバチが樹液に集まる際には、捕食関係ではないものの、小型の甲虫(カナブン、コクワガタ等)に対しては攻撃を行う一方で、大型の甲虫(カブトムシ、大型のクワガタムシ、カミキリムシ等)に対しては、反撃を受け殺傷される危険もあり、スズメバチの側から接近する例は少ない。とくにカブトムシの活動が全盛となる7月〜8月には、餌場を追い立てられ、好位置を独占される場面が見られる。また、大型甲虫以外にスズメバチを追い払う昆虫にオオムラサキがある。オオムラサキは樹液に集まるため、スズメバチ類と餌場争いをするが、気性の激しいオスは羽を広げてスズメバチを追い立てることが知られている。 本種に寄生する生物として菌類、線虫などがある。生活史を通してみると、捕食寄生者が多い昆虫には珍しい寄生虫であるネジレバネ(スズメバチネジレバネ)等がある。ネジレバネに寄生された働きバチはやや長生きして冬を越すようになり、むしろネジレバネに合わせた生活史をとるようになる。 幼虫の捕食寄生者としてはカギバラバチ科のハチが挙げられる。カギバラバチは葉に卵を産み、それを蛾などの幼虫が食べ、さらにそれがスズメバチの巣に持ち帰られて幼虫のエサとなり、寄生が始まる。オオハナノミ科の甲虫にもこの習性がある。 スズメバチ類の巣にはしばしばベッコウハナアブ類の幼虫が寄生し、営巣盛期には排泄物や巣の下部に廃棄された成虫や幼虫の死体を摂食している。これが、晩秋の巣の衰退期になると巣の上部に侵入し、生きた幼虫をも捕食し成長する。また、朽木の中に越冬室を掘って冬眠中の新女王蜂は、しばしばコメツキムシ科の甲虫の幼虫によって捕食される。アリもまた天敵であり、特に営巣初期で働きバチの個体数が少ないときに襲われると巣を放棄することもある。そのため、数匹の女王バチが共同で営巣を始めることもある:58。 メイガの仲間(メイガ科シマメイガ亜科)のうち,ギンモンシマメイガ Pyralis regalis とモモイロシマメイガ Hypsopygia mauritialis がスズメバチの巣に寄生する。 鷹の一種であるハチクマは、スズメバチの巣を攻撃し、巣盤を持ち帰り、幼虫とさなぎをひな鳥の餌としている。ハチクマの攻撃を受けたスズメバチは、クモの子を散らすように逃げ惑い、毒針を用いた防御行動を起こさないという(ハチクマの羽毛越しには針が届かず、攻撃が効かない)。 ヒトは、スズメバチを巣ごと駆除したり、食用として幼虫やさなぎや成虫を採集する。クマは巣を破壊し、中の幼虫やさなぎを食い荒らす。 また、同じスズメバチ類の中でも捕食―被食の関係がある。オオスズメバチは生殖個体である雄蜂や、養育期には他のスズメバチの巣を頻繁に攻撃する。また、チャイロスズメバチはキイロスズメバチ等の初期段階のコロニーを襲撃して乗っ取る社会寄生を行う。
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