大黒島と厚岸湾の自然
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 07:16 UTC 版)
「大黒島 (厚岸町)」の記事における「大黒島と厚岸湾の自然」の解説
本島が所在する厚岸湾周辺では、暖流と寒流の交流が行われるため、大量のプランクトンの発生を促し、豊かな生態系を生み出す環境が確立されている。また、暖流の影響からか水温は比較的暖かく、ダケカンバやサルオガセなども見られる。近隣の仙鳳趾にある仙鳳寺には、道東では稀な杉が植栽されている。 オオセグロカモメやアホウドリ科など北方系の海鳥の大繁殖地および回遊域であり、国内で現存する数少ないウミウやウトウの繁殖地の一つでもある。とりわけ百万羽以上が棲息するコシジロウミツバメにいたっては日本唯一の繁殖地であることから、1951年(昭和26年)6月9日に「大黒島海鳥繁殖地」として国の天然記念物に指定され、1972年(昭和47年)11月1日に国指定大黒島鳥獣保護区(集団繁殖地)に指定されている(面積107ヘクタール、全域が特別保護地区)。また、現在では稀だがエトピリカやケイマフリなどの貴重な鳥類もかつては少数繁殖していた。島で確認された鳥類は59種を数え、チシマウガラス、オジロワシ、オオタカ、ハヤブサ、ウミガラスなどの国内希少野生動植物種も棲息が確認され、オジロワシの繁殖も行われている。東梅には厚岸水鳥観察館が設立されている。 哺乳類ではエゾヤチネズミが棲息する。海岸は100頭を超えるゼニガタアザラシの繁殖地としても知られ、ゴマフアザラシやトドも現れるほか、厚岸湾ではラッコの確認例もある。ラッコもかつてこの地に豊富に存在していた事は歴史的に示唆されている。 その他の鰭脚類ではクラカケアザラシやワモンアザラシ、キタオットセイなどの棲息の可能性もあるニホンアシカやニホンカワウソもかつては棲息していたと思われ、平成9年には別寒牛川にてカワウソらしき動物を見たとの報告もある。 鯨類では本島から霧多布岬などにかけてミンククジラやシャチ、カマイルカやイシイルカ、ネズミイルカなどが沿岸域を通過し、シャチも時には湾内部の尻羽岬などでも見られる事がある。その他、ツチクジラなども現れる可能性があり、マッコウクジラなどが漂着する事もある。また、セミクジラが1960年代までは見られており、他にもナガスクジラやザトウクジラなど、かつては大型の鯨類もよく見られたと思われる。 厚岸湾東部にはアイニンカップ岬があり、北方では貴重なアマモ場が数ヘクタール広がっている。オオアマモが湾内に広く分布し、厚岸湖中にもアマモ、 コアマモ、カワツルモが棲息する。湾岸の子野日公園近辺にはラムサール条約指定の東梅海岸があり、アッケシソウもここで発見された。
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