大規模構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 08:51 UTC 版)
大深度宇宙を調査すると、銀河同士が近く結合した様子が高い頻度で見つかる。最近の10億年では、同規模の銀河と有意な影響を及ぼし合わない孤立した銀河は比較的少なく、観測からはわずか5%程度しか見つかっていない。これらも過去には合体を経験していたり、小さな伴銀河を持っている可能性はある。孤立銀河は他銀河との相互作用でガスが取り去られる事が無いため、標準的な銀河よりも星形成の割合が高い セイファートの六つ子銀河。コンパクト銀河群の例。 巨視的には、ハッブルの法則で明らかになった通り宇宙は膨張しており、それに引きずられて個々の銀河の間隔は基本的に広がっていると考えられている。しかし局地的には、銀河相互に働く引力によって拡張に逆らっている。この銀河の群集は、暗黒物質の集まりが銀河をひきつけて、宇宙の初期には形成されていた。そして群集はさらに集まり、大きな集団を形成するようになった。この集合が進展する過程でガスもまた集まり、銀河内部の熱量を高め、30 - 100メガケルビンにまで達する。このような集まりの質量のうち、70-80%を暗黒物質を占め、10-30%が熱いガスであり、銀河を構成する物質は残りのわずか数%でしかない。 宇宙のほとんどの銀河は、ほかの多くの銀河から重力の影響を受けている。その形は3-50個ほどの銀河が集まった銀河群と呼ばれる小規模な集団に始まり、フラクタル状の階層的段階の集団を構成する。200万光年程度の狭い領域に纏まった銀河群はコンパクト銀河群と呼ばれる。最も一般的な集団は50-1000個ほどの銀河が集まった銀河団であり、宇宙そして銀河中のバリオン物質がつくる主要な構造である。このような状態を維持するために、銀河群はビリアル定理で示されるように飛び出さない程度の速度を保ち、重力で繋がっていなければならない。その一方で運動エネルギーに欠けているとやがて合体し、brightest cluster galaxyが時とともに潮汐力で周囲の銀河を破壊し取り込むように、単一の巨大な楕円銀河に組み込まれやすい。 超銀河団とは、個別なり集団なりの万単位の銀河を含む、直径1億光年にも達する銀河の集まり。そしてこれらは、広大な薄膜と繊維が空隙を包むような宇宙の大規模構造を作り上げる。この規模からの視点を以って、銀河分布は等方性と均質性があるものとみなせる。 天の川銀河は、局所銀河群と呼ばれる約1メガパーセクの領域で集団を形成する銀河の集団に属す。アンドロメダ銀河は天の川銀河と並ぶ大きさを持ち、その他は矮小銀河である。この局所銀河群そのものは雲状のおとめ座銀河団の一員であり、さらに大きな視点から見るとこれさえおとめ座超銀河団に含まれる。そしてこの超銀河団も、他の銀河団とともにケンタウルス座の方向にあるグレートアトラクターに引きつけられている。
※この「大規模構造」の解説は、「銀河」の解説の一部です。
「大規模構造」を含む「銀河」の記事については、「銀河」の概要を参照ください。
- 大規模構造のページへのリンク