外見的特徴と花期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:48 UTC 版)
落葉広葉樹の高木。樹高はおおよそ10 - 15メートル (m)。樹形は横に大きく広がる傘状になる。老木になると太い幹が下からねじれるように横に広がる。樹皮は灰褐色で、皮目が横筋状に並ぶ。一年枝は灰褐色や紫褐色で、皮目が多く無毛、あるいは毛が残る。葉は互生。葉身は楕円形で葉縁には浅い重鋸歯がある。葉柄はまばらな毛が生えており、葉身との境目にイボのような蜜腺がある。秋に紅葉するが、砂地などでは夏ごろから中途半端に紅葉して早々と散ってしまうこともある。 開花期は全体的には3 - 4月。国内では早い、九州・四国地方や東京で、3月下旬頃に咲き始める。花弁は5枚で葉が出る前に花が開き、満開となる。花色は蕾では萼等も含めて濃い赤に見えるが、咲き始めは淡紅色で、満開になると白色に近づく。原種の一方であるエドヒガン系統と同じく満開時には花だけが密生して樹体全体を覆うが、エドヒガンよりも花が大きく、派手である。エドヒガン系統の花が葉より先に咲く性質とオオシマザクラの大きくて整った花形を併せ持った品種である。萼片は先端が尖り、萼筒は紅色で壺のような形をして、毛が生えている。花柄にも毛がある。 ソメイヨシノ誕生以前に花見の主流だった野生種のヤマザクラより開花してから散るまでが速いと誤解されることも多いが、これはヤマザクラが野生種であり同地であっても花期に前後の幅があるのに対し、ソメイヨシノは栽培品種のクローンであり花期が同地では統一されていることから起きた誤解であり、単一の木で見れば、むしろソメイヨシノの方がヤマザクラより花期は長い。 果期は5 - 6月。実(サクランボ)は黒紫色でごく小さく、わずかに甘みもあるが、苦みと酸味が強いため、食用には向かない。また、他のサクラに比べてほとんど結実しない。 冬芽は、枝先の頂芽と小枝に互生する側芽があり、濃い褐色の長卵形で、12 - 16枚ほどある多数の芽鱗に覆われて軟毛がある。はじめは葉芽と花芽の区別がはっきりしないが、1月ごろになると花芽のほうが卵形で丸みが出てくる。花芽の中には数個の花蕾が入っている。葉芽は紡錘形または長楕円形で先がやや尖る。葉痕は半円形で維管束痕が3個つく。
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