基本的な空力設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 14:04 UTC 版)
「ノバ・スペシャル」の記事における「基本的な空力設計」の解説
ノバSPLでは、シャーシが3種類かつエンジンも2種類あるので、MCS-IVのようにカウルを一体化できず、フロント、センター、リアの3分割化としてマルチシャーシへの対応を実施した。 カウルの形状は、フロントはウエッジシェイプを採用して、フロントフェンダー部分がやや高いところに張り出す形になっている。フロントフェンダ天面からやや低い平面がリアカウル後端まで続き、ドライバ着席部とエンジン収納部とリアフェンダ部が、島状でその平面から飛び出している。リアには、リアウイングがボディの高い位置にセンター・マウントで設置されている。モノコック両側の下面には、アンダーカウルを取り付け、そのアンダーカウル下面をウイング状に成形して、サイド・ウイングとして活用する。 サイド・ウイング下面に流れる気流は、ノーズ下面のみではなく、ウエッジシェイプのフロントカウル前方上面に切られたNACAダクトからも取り入れている。 サイド・ウイング下面の跳ね上がり方は、強く曲率も大きく、サイド・ウイング後端がライバルのムーンクラフトのMCS-IVより高く、ボディのリアエンドに垂直面はほとんどない。また、サイド・ウイングの形状はRE仕様もBMW仕様も同じであるが、サイド・ウイングを横断するドライブシャフトの設置位置が異なる。BMW仕様では、サイド・ウイングの下面がドライブシャフトの上方を通っているが(ウイングの空気流の中にドライブシャフトが露出する)、RE仕様ではサイド・ウイング上面がドライブシャフト下方を通っている(ウイングの空気流の中にドライブシャフトが露出しない)。このドライブシャフト位置の違いは、REのほうがBMWよりも出力シャフトの位置が高く、その差異を吸収するためにRE仕様では、ギアボックスを天地逆さに設定しているが、それだけでは吸収できなく、ギアボックスの位置をBMWよりも高く設置し、それに伴いドライブシャフトが高い位置を通るからである。 フロントカウル下面とカウル上面のNACAダクトからの気流は、合流してフロントサスペンションのアームの間を通り、ボディ内部でラジエターへの冷却風とサイド・ウイングへの下面流に分けられる。この気流の分岐点は、シャーシとフロント・タイヤに挟まれた幅の狭いところにあり、サイドポンツーン前端部のタイヤ内側面に回り込んだタイヤハウスが、この部分を更に狭くしている。そのため サイド・ウイング下面とラジエタ部に充分な空気流が流れずに、ダウンフォースの低下とオーバーヒートを引き起こしていた。 オイルクーラーと水冷ラジエターは、フロントタイヤ直後に設置され、右側に大型水冷ラジエター、左側に小型水冷ラジエタとオイルクーラーが設置されて、ラジエターを通過した冷却風は、コックピット横の天面に抜ける。このエアアウトレットから排出される空気流は、かなり大きく流速が低下して、カウル上面の早い空気流と流速が会わず渦を発生してた模様であった。 カウルには、エアインレットやアウトレットが多く、ノーズには、ラジエタ用エアインレット、リアカウルにはリアブレーキ用インレット、リアタイヤハウス後部にエア抜き、ギアボックスカバー後部にエア抜きが設置されドラッグの原因となっていた。 排気管はサイドエキゾーストをREおよびBMWとも採用した。REの場合は、レギュレーションでマフラーの装着が義務付けられている。REは排気ポートがエンジン下部右側にあり、排気ポートからエキゾーストパイプを接続し後方排気にしてマフラーを設置すると、エンジン幅が広くなってサイド・ウイング形成の邪魔になる。ノバは、この課題を解決するため、RE本体からのエキゾーストパイプをいったんマシンの前上方向にふり、サイド・ウイングの上面にマフラを設置してボディサイドに排気させるようにした。この結果、RE仕様でもBMW仕様と同じサイドウイング幅を確保することができた。またBMWでは、排気管が左側にあるので、ボディイサイド左側に排気するようにした。なお、GC第1戦では気温が低く、排気管関係の問題がでなかった。
※この「基本的な空力設計」の解説は、「ノバ・スペシャル」の解説の一部です。
「基本的な空力設計」を含む「ノバ・スペシャル」の記事については、「ノバ・スペシャル」の概要を参照ください。
- 基本的な空力設計のページへのリンク