地面師による詐欺被害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 00:38 UTC 版)
(「積水ハウス地面師詐欺事件」も参照。) 2017年4月24日、東京都品川区の五反田駅から徒歩3分の立地にある旅館「海喜館」の所有者Eを名乗る女と、約600坪の旅館敷地を70億円で購入する売買契約を締結。6月1日に売買の窓口となった「IKUTA HOLDINGS株式会社」(千代田区永田町)に所有権移転の仮登記、さらに同日、積水ハウスに移転請求権の仮登記がなされ、同日、売買代金のうち63億円を支払い、直ちに所有権移転登記を申請した。 しかし6月9日に、法務局より所有者側の書類が真正ではないとして不動産登記申請が却下され、6月24日には相続を原因として所有者Eの実弟である2人の男性に所有権移転の登記がなされた。主犯格の男「池袋のK」と呼ばれる、所有者Eになりすました女を中心とした、地面師グループにより騙し取られたことが発覚した。 9月15日、積水ハウスは警視庁に告訴状を提出した。なお、IKUTA社の本社所在地は登記上、元衆議院議員の小林興起の事務所となっているが、事務所側は「登記上、事務所にしていただけ」としている。 相続登記後「池袋のK」らとは連絡が取れなくなり、63億円のうち女からの預かり金7.5億円を相殺したが、残りは回収不能と見込まれることから55.5億円の特別損失を計上。事件の責任を取る形で、会長の和田勇と社長の阿部俊則(いずれも当時)は2か月間、減俸20%、ほかの取締役は減俸10%とする処分を発表。後に和田の会長職が解任され、後任として就任した阿部と株主総会で対立するなど、お家騒動の一因にもなった。 2018年10月16日、警視庁捜査二課は電磁的公正証書原本不実記録未遂と偽造有印私文書行使の容疑で「地面師」グループの2人を逮捕。他のメンバーも今後逮捕する方針であると発表している。 土地の本物の所有者は2017年5月にこの情報を知り、積水ハウスに偽造である旨を指摘する内容証明郵便を複数回送付していたにもかかわらず、取引妨害とみなして調査することなく無視していたこと、偽造パスポートで本人確認をしただけだったことといったずさんな対応が明らかになっている。 なお、この地面師グループは2014年9月杉並区の約400平方メートルの土地について所有者の男性に成り済まし東京法務局に偽造した委任状などを提出し、虚偽の所有権移転登記をしようとした疑いで2019年6月に逮捕。また、2015年に港区新橋の土地約160平方メートルを無断売却しようとした疑いで2020年3月25日に逮捕。さらに2016年12月渋谷区西原の宅地約250平方メートルについて所有者に成り済まし、偽造した書類を使って移転登記した疑いで2020年2月12日に逮捕されている。 事件の舞台となった「海喜館」跡地は後に旭化成系列の旭化成不動産レジデンスが正式に取得。東京新聞の取材に対し、同社は2020年3月から建物などの解体工事を行い、一旦更地にした上でマンションなどの建設を予定していると回答した。
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