土佐の遍路道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 04:44 UTC 版)
修業の道場(東洋町甲浦(かんのうら)から24番最御崎寺乃至39番延光寺および宿毛市まで) 甲浦からもひたすら国道55号に沿って歩く。東洋町野根の伏越ノ鼻から室戸市入木(いるき)までの9km余りはまったく人家がない区間である。室戸岬までの間は宿のある場所がかなり限定され、歩き遍路にとっては過酷な区間ともいえる。旧道がある区間は国道をそれて歩いたほうが変化があってよい。 24番最御崎寺から室戸スカイラインのヘアピンカーブを下って海沿いの国道55号へ出る。25番津照寺は室戸市街地の小高い丘の上にある。次の26番金剛頂寺までは比較的距離が短いが、その先27番神峯寺および28番大日寺までは距離が長い。この間も大半は国道55号に沿っているが、遍路道や旧道、防波堤道路、自転車道などがあり変化を求めることができる。 28番大日寺を出て物部川を戸板島橋で渡ると田園風景となる。29番国分寺から30番善楽寺までの前半は自治体が整備した散歩道があり快適に歩ける。31番竹林寺手前までは市街地であるが、五台山への登り道は昔からの遍路道である。この道は最後に高知県立牧野植物園に入るが歩き遍路は無料で通行できる。32番禅師峰寺側への下りは急な石段なので注意が必要である。 32番禅師峰寺から33番雪蹊寺の間には浦戸湾が深く切れ込んでおり昔から渡し舟があった。現在でもここには無料の県営渡船 があり、海を渡る遍路道として親しまれている。乗り物にならず歩いて行きたい場合は少し遠回りになるが浦戸大橋を渡ることになる。 34番種間寺の前後はのんびりとした田舎道である。仁淀川大橋からは国道56号で、車優先の騒がしい道となる。高知自動車道土佐ICの手前から北に進み山へ上がっていくと35番清瀧寺である。 土佐市高岡の市街地まで同じ道を戻り、さらに北へ進むと塚地坂へ出る。ここから塚地峠を越えると海辺の町宇佐である。昔は渡し舟があった浦の内湾の入り口を宇佐大橋で渡り、横波スカイラインをしばらく進むと36番青龍寺の入り口である。 36番青龍寺から須崎市には経路が2つある。1つは横波スカイライン、浦の内西分、押岡を経由する道。もう1つは宇佐大橋まで戻り、浦の内湾の北を通って仏坂を経由する道であり、こちらが古い遍路道である。浦の内湾を縦断する巡航船 を利用する方法もある。この先37番岩本寺までは国道56号があるが、安和駅の先で焼坂トンネルを避けて焼坂峠を行く経路があり、土佐久礼駅の先は奥大坂遍路道または添蚯蚓遍路道を通り七子峠へ至る。 37番岩本寺から38番金剛福寺までは札所間の距離がもっとも長く、最短でも80km余りある。国道56号と国道321号に沿って土佐清水市以布利まで、その後高知県道27号足摺岬公園線を歩く。途中四万十町と黒潮町の町堺に片坂遍路道がある。黒潮町浮鞭の道の駅ビオスおおがた付近から土佐西南大規模公園(大方地区)内を歩くとよい。その先は高知県道42号中村下田ノ口線や農道を歩いて四万十大橋を渡り国道321号に入る。1620mの新伊豆田トンネルを抜け、下ノ加江から海を望みながら久百々、大岐、似布利と進み、県道27号で足摺岬へ向かうが、久百々から途中ところどころに復元された旧遍路道があるので歩いてみるのもよい。 38番金剛福寺から39番延光寺までは複数の遍路道がある。大きく分けると、往路で新伊豆田トンネルを抜けたあたりまで戻り高知県道46号中村宿毛線から三原村上長谷で林道へ入り地蔵峠遍路道を通る道、下ノ加江から高知県道21号土佐清水宿毛線で三原村役場付近を通り平田駅付近に出る道、足摺岬から半島の西側を通って国道321号に入り、月山神社、大月町、宿毛市を経由する道の三つである。 39番延光寺を出て、国道56号に沿って宿毛にいたる。宿毛の市街地を過ぎ宿毛貝塚から遍路道に入り、錦、小深浦、大深浦の集落を過ぎると松尾峠への上りにかかる。松尾峠が土佐と伊予の国堺である。
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