国立大学の入学試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 04:05 UTC 版)
国立大学の一般入試は、通例「大学入学共通テスト」(1979年から1989年は「大学共通第1次学力試験」、1990年から2020年までは「大学入学者選抜大学入試センター試験」)(以下、共通テスト)の受験が必須で、5教科7科目(理系は英語・数学①②・国語・理科×2・地理歴史公民×1、文系は英語・数学①②・国語・理科×1・地理歴史公民×2)という広範囲を選択することになっており、また、それに加えて大学別の個別試験(2次試験)も受験しなければならない。したがって、私立大学に比して試験科目数が非常に多く、オールラウンドな学力が要求される(但し、中には、試験科目数を軽減している国立大学も存在している)。また、記述形式が中心の2次試験では、解答のみを答える私立大学や共通テストのマーク形式と異なり、解答のみならず、その解答に至るまでの正確な過程や考察も答える問題が非常に多く、より高度な学力が要求されている。なお、一部の大学では共通テストの配点を小さくする措置を取る場合もある。 国立大学の2次試験は、前期日程と後期日程の2つの日程に募集人員を振り分けて選抜する「分離・分割方式」で実施される。受験生は前期日程と後期日程にそれぞれ1校ずつ出願できる(中期日程を設定する大学もある)。つまり、国公立大学は最大3校の受験が可能である。この点、日程さえ異なればいくつでも併願可能な私立大学に比べ、受験可能回数が非常に限られる(稀に共通テストのみを課す大学がある)。 また、国立大学では、共通テストの成績を用いた2段階選抜が行われる場合がある。これは、共通テストの成績に基づいて2次試験を受験できる者を選抜し(第1段階選抜)、選抜合格者にのみ2次試験を実施する制度である。一般的に「志願者が募集人員の何倍を上回った場合、第1段階選抜を実施する」とされており、志願者数の状況によって2段階選抜の有無が決まる。2段階選抜が実施されるのは、難関国立大学や医学部が多い傾向がある。 国立大学の約9割が学校推薦型選抜を実施している。国公立大学の学校推薦型選抜は、私立大学に比べて募集人員が少なく、出願条件のうち「学習成績の状況4.0以上」など厳しい成績基準が設けられる。また、共通テストの受験を義務づけたり、面接や小論文といった独自試験を課す大学も多い。特に、国立大学の医学部の多くは、出身地域や卒業後の勤務地等に制限を設けた地域枠学校推薦型選抜を実施している。地域枠で合格・入学すると、卒業後に特定の地域で医師として働くことを条件に奨学金が受給できるなどの特例が設けられる場合もある。 さらに、AO入試を実施する国立大学も増加傾向にある。出願条件は学校推薦型選抜より緩やかな場合が多いが、大学によっては特定資格の有資格者や全国コンテストの上位入賞者など、厳しい条件が定められている。選考方法は書類審査・面接(プレゼンテーション)・小論文を課す選抜型が一般的である。
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