名称変更による問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 14:15 UTC 版)
既に名称として知られる京都市立芸術大学(通称:京都芸大、京芸)との混同が危惧されている。京都市立芸術大学は京都造形芸術大学の京都芸術大学への大学名変更に対し、当事者間では解決の方向性を見出し難いと判断した場合は法的措置も含めた適切な対応を取るとした。 京都造形芸術大学が「京都芸術大学」に改称すると発表したことを受け、京都市立芸術大学が2019年9月2日、大阪地方裁判所で訴訟を提起した。 Change.orgでは京都造形芸術大学関係者によって『京都造形芸術大学の「京都芸術大学」へ名称変更についての反対署名。』のタイトルで名称変更の中止署名活動が開始され、京都市民、京都造形在学生、卒業生の署名等が集まった。 京都市長の門川大作は「京都市立芸術大学の卒業生は,大学名に誇りを持って活躍し,世界で「京都芸大」「京芸」卒業生としての活動実績を積んでいます。大学の名称は,大学に関わってきた,そして大学を支えていただいている多くの市民や関係者の方々の想いが込められている非常に大切なものです。」、「大学が新たに名称を変更される場合は,既存の大学と混同しないよう,明確に識別できるようにすべきであります。」とのコメントを発表し、「今一度新しい名称を再考」するよう京都造形芸術大学へ呼びかけた。 京都造形芸術大学理事長は「本学が話し合いを申し入れていたところ、一方的に訴訟を提起した旨を発表した」、「本学としては京都市立芸術大学の真意を測りかねております。」と公式ページにて発表し、名称変更について法的にも一切問題はないと考えているとした。 京都市立芸術大学理事長は「当該名称は本学の名称や一般的に通用している略称と同一あるいは酷似しているため,受験生や本学の在学生・卒業生をはじめ,市民の皆様や芸術を愛する幅広い人々に大きな混乱を招くと危惧し,再三,中止再考をお願いしてまいりました。」と、事前に京都造形芸術大学と対話を幾度もしようとしていた事を語っている。また、京都市立芸術大学理事長は「こうしたなか,京都造形芸術大学が8月27日に名称変更を正式に発表され,本学及び京都造形芸術大学の在学生・卒業生をはじめとする多くの方々のなかで,予想以上の混乱が生じている状況です。」と話し、「8月30日付けで京都造形芸術大学のホームページに発表された『開学30周年「グランドデザイン2030」についての学長コメント』において、「京都芸術大学の名称に変更する」という従来からのご主張を維持されておられることを確認し,やむなく訴状を提出することにした。」と説明した。また、京都造形芸術大学が「京都芸術大学」と改称した後も、京都市立芸術大学はそれを「旧京都造形芸術大学 ※名称について係争中のため,旧名称で表記しています」と記載することを表明した。 2020年8月27日、大阪地方裁判所は京都市立芸術大学側の訴えを退け、京都市立芸術大学は、これを不服として大阪高裁に控訴し、2021年3月に結審していたが、3月4日の口頭弁論終結後に裁判所から和解打診があり、裁判所の仲介により、瓜生山学園と京都市立芸術大学両者の和解が2021年7月20日に成立した。この和解内容は、お知らせ文を含め、連名によるお知らせとして、同一内容で双方のHPに掲載された。この同一内容による公表自体、和解条項5に規定されている。 和解の主な内容は、 控訴人(公立大学法人京都市立芸術大学)は、被控訴人(学校法人瓜生山学園)が被控訴人大学の名称として「京都芸術大学」及び「Kyoto University of the Arts」を使用することに自ら異議を述べず、また,第三者をして異議を述べさせない(和解条項1⑴)。 被控訴人は,控訴人が控訴人大学の通称又は略称として「京都芸大」及び「京芸」を使用することに自ら異議を述べず,また,第三者をして異議を述べさせない(和解条項1⑵)。 被控訴人は,今後,被控訴人大学の通称又は略称として「京都芸大」及び「京芸」を自ら使用せず,また,第三者をして使用させない(第三者が自ら使用した場合については,被控訴人は何らの責任を負わない。)(和解条項2⑴)。 控訴人は,今後,控訴人大学の通称又は略称として「京都芸術大学」を自ら使用せず,また,第三者をして使用させない(第三者が自ら使用した場合については,控訴人は何らの責任を負わない。)。(和解条項2⑵)。 学校法人瓜生山学園は「京都芸術大学」の通称または略称として「京都芸大」「京芸」を使用せず、京都市立芸術大学は今後も「京都芸大」「京芸」を通称・略称として使用するできるとするものである。略称使用については、瓜生山学園が譲歩する一方、京都芸術大学の名称自体は使用できるものになった。和解は更に次の内容も含んでいる。 当事者双方は,互いに,相手方のこれまでの研究,教育及びその他の活動に敬意を表し,協力して芸術の発展に寄与することをここに表明するとともに,相手方の名称(通称又は略称を含む。)に関して互いに誹謗中傷を行わず,また,第三者をして誹謗中傷を行わせないものとする。(和解条項4)。
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