古典的な物真似
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 01:25 UTC 版)
人や物の音声を真似る芸を、元来は声色遣い(こわいろづかい)と言った。声色は基本的に歌舞伎役者の舞台上の姿をまねるものであり(役者ものまね)、現在のように有名人ならばだれでもかれでもをまねたものではない(そもそもメディアが未発達な時代には、多くの人々が共通して認識していて物真似の題材となり得る存在は、唯一舞台役者だけだった)。 江戸後期から戦前まで、声色は脈々として受継がれ、寄席演芸の重要な演目であると同時に、銅鑼などの相方を用いた遊里の門付芸、お座敷遊びでの幇間芸としても愛されたが、単なる「声帯模写」や「ものまね」が登場したのちは徐々に下火になっていってしまった。片岡鶴太郎の師匠である片岡鶴八、屏風芸でも知られた「最後の幇間」悠玄亭玉介、「声のスタイルブック」と題してモダンな語り口で演じた桜井長一郎、齢80を越えて現役を貫いた「最後の名人」白山雅一が声色の名人として知られている。 以上のように人間を真似する芸のほかに、江戸時代から動物の鳴きまねという分野もあり、これは日本独自のものまねである。寄席演芸の一種で、猫や犬のような動物をはじめとして、虫の声、さまざまな鳥、など、いずれも真に迫って洗練された至芸と称するに足る。太平洋戦争後の芸人としては、三代目江戸家猫八(得意芸はネコ、ウグイス)、アダチ龍光(得意芸はおんどり)らが有名。 浮世物真似は人の身振りや動物の鳴き声など、日常を切り取ったものまね。 1809年には人や生き物のモノマネのマニュアル本の様な、腹筋逢夢石(はらすじおうむせき)という滑稽本が山東京伝と歌川豊国によって出版され、翌年には続編も刊行された。
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