参加者・組織の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 01:05 UTC 版)
ネットワークビジネスの集団は、前向きな心的態度を活用する「積極思考」(ポジティブシンキング)を信奉し教化する特殊な集団であり、成功も失敗も完全に自分次第であるという究極の自力信仰でもある。現代人の「自分探し」欲求に強烈にアピールする魅力があり、経済的成功の夢で、会社での地位が低い男性や虚無感を抱える主婦などを強く惹きつけている。資本主義社会に対しては極めて肯定的である。昔から「宗教のようだ」という批判・指摘があり、参加者全員が成功するという実現しえないことをグループ全体で信じていることから白眼視され、参加者は信者のようだと評されている。 ラリーという大会が定期的に開かれ、成功者の表彰と成功談のスピーチが行われ、士気が高められる。これを通してネットワークビジネスの価値観を内面化し、生活を染め上げていく。夢をかなえようと情熱を注ぐほど外部からは冷たい目で見られ、さらにグループ内のつながりは強くなっていく面がある。 掲げられる経済的成功の夢や理想とは裏腹に、参加者に経済的に成功している人が少なく、アメリカでの試算によると、ネットワークビジネスで収益を挙げられるのは、全体の1%以下である。一生の仕事にしようと決心して参入しても、多くは2年以内でアクティブなディストリビューターをやめている。やる気をもって最初に数十万円の商品を購入するが、ほとんどの人がそれを回収する前に諦め撤退し、こうして常に新しい参入者がまとまった初期投資を行い挫折して去ることで、上位の人間が利益を得る形で成立している。 ディストリビューターには労働組合・医療保険・労働保険もいらず、組織への忠誠心は非常に高いという、組織としては理想的な労働力になっている。前向きな態度が成功をもたらし、それは誰にでもできるというメッセージは、内部に存在する不平等を覆い隠し、経済的成功の夢の実現性の低さが、社会との緊張をもたらす要因になっている。
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