単電子トランジスタとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 単電子トランジスタの意味・解説 

単一電子トランジスタ

(単電子トランジスタ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/12 09:36 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

単一電子トランジスタ(たんいつでんしトランジスタ SET;Single Electron Transistor)は、トランジスタの一形式。

概要

従来のトランジスタの構成パーツであるゲート長が数10nmになると量子的な性質が極端に現れてくるので、現状のMOS FETでは演算素子としての機能を果たすことは困難であると考えられる。そこで量子の世界に特有なトンネル効果などの現象を利用して電子を一つ一つ制御して様々な演算を行う単一電子トランジスタ(SET)が新たに提案されている[1]。SETでは量子ドットが重要であると考えられ、理論的には、今よりはるかに高性能で低消費電力なコンピュータの実現が期待される[1]

構造

三つの電極を備える電界効果トランジスタと類似の構造だが、微細な大きさのクーロン島に存在する電子のトンネル効果を止める「クーロンブロッケード」と呼ばれる効果を利用しているため、作動原理は異なる[2]

課題

室温でクーロンブロッケードを起こさせるためにはクーロン島の大きさをナノメートルサイズにする必要があり、室温で動作する個々の単一電子トランジスタで論理回路を形成するためには微小な配線で接続する必要があり、これが課題となる。さらに、集積度が向上して単一電子トランジスタ間の距離が50nm以下の場合には今度は個々の素子間で起こる電子のトンネル効果の問題が浮上する[1][2]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク


単電子トランジスタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/20 09:01 UTC 版)

クーロンブロッケード」の記事における「単電子トランジスタ」の解説

詳細は「単一電子トランジスタ」を参照 クーロンブロッケード効果利用した素子の中で最も単純なものは、いわゆる単電子トランジスタである。これは自己容量の低い電極を介して二つトンネル接合直列接続したもので、接合挟まれ中央電極は島(導体島、クーロン島)と呼ばれる。さらにもう一つ電極ゲート)を島と静電的に結合させ、これによって島の電位調節するソース電極から電子トンネル可能なエネルギー準位島内部に存在しない時には接合遮断状態にある(上図、赤の点)。このとき、島内部で低エネルギー準位全て占有されている。 ゲート電極に正の電圧がかかると、島のエネルギー準位下方シフトするソース電極内の電子(緑の点、1.)は島内トンネルしてそれまで空だったエネルギー準位占有することができるようになる(2.)。電子そのままドレイン電極トンネルしていき(3.)、そこで非弾性散乱起こしてドレイン電極フェルミ準位落ち込む(4.)。 島のエネルギー準位間隔一定値 Δ E {\displaystyle \Delta E} を取る。 Δ E {\displaystyle \Delta E} は島に電子一個入っている時、続いてもう一つ電子入っていくのに必要なエネルギーで、自己容量 C {\displaystyle C} に依存しており、 C {\displaystyle C} が低いほど大きくなるここまでの話は Δ E {\displaystyle \Delta E} が熱エネルギー k B T {\displaystyle k_{B}T} より大きいことを前提にしている。さもなければソース電極電子は熱的に励起されゲート電圧関わらずクーロン島の非占有準位届いてしまうので、ブロッケード効果観測できない

※この「単電子トランジスタ」の解説は、「クーロンブロッケード」の解説の一部です。
「単電子トランジスタ」を含む「クーロンブロッケード」の記事については、「クーロンブロッケード」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「単電子トランジスタ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「単電子トランジスタ」の関連用語

単電子トランジスタのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



単電子トランジスタのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの単一電子トランジスタ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのクーロンブロッケード (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS