動物の精子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 03:11 UTC 版)
動物の精子は卵子に比べて小さく、運動能力を有した雄性生殖細胞である。精子の構造は、遺伝情報である核DNAを含有する頭部、ミトコンドリアの集合した中片部、さらに中心小体から伸びた軸糸からなる尾部から構成されている。精子の頭部には、先体アクロソームと呼ばれる部位が存在し、様々なタンパク質分解酵素(アクロシン、ヒアルロニダーゼ)が含有されている。受精において、先体の形態的変化先体反応が、卵子の細胞質を覆っている糖タンパク質である透明帯の通過に関与すると考えられている。一方、中片部および尾部は、鞭毛構造をとっており、それを振動させることにより運動している。精子には、卵子の位置を把握するために、卵子や卵丘細胞から分泌される誘因物質を感知する機能が備わっていると考えられている。 受精のメカニズムは未だ不明な部分が多く、精子が能力を得るために必要な受精能獲得や運動パターンの変化である超活性化などについて現在でも多くの研究が行われている。卵子細胞膜との融合のために精子側で必要な分子として、日本人の研究者らによりタンパク質“Izumo”の存在が2005年に報告された。 精子は精原細胞から分化して作られる。生殖細胞は生殖巣とは異なる場所に生じるが、発生の過程で移動し、精巣原基に取り込まれ精巣を形成する。精原細胞は細胞分裂により数を増やし、このなかから一次精母細胞が生じ、続いて減数分裂によって2個の二次精母細胞、最終的には4個の精細胞が作られる。精細胞は精子完成を経て精子となる。 精子完成の際、ゴルジ体が先体に、中心体が鞭毛となる。ミトコンドリアは鞭毛の根本の周辺に凝縮し、鞭毛の動作に必要なエネルギーを供給するようになる。後に精細胞の細胞質基質の一部は消失し核も凝縮されて精子の形となる。 ヒトを含む動物や魚類の精子は、通常は精子を含んだ液体である精液としてオス(男性)から放出されるものであり、精液のことを指して「精子」と呼ぶ場合も多い(例:メスの産んだ卵にオスが精子をかける(魚類の生殖)など)。
※この「動物の精子」の解説は、「精子」の解説の一部です。
「動物の精子」を含む「精子」の記事については、「精子」の概要を参照ください。
- 動物の精子のページへのリンク