動物の群体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/03 07:45 UTC 版)
分裂や出芽などの無性生殖によって数が増えても、そのままくっついているのが、動物の群体である。分類群でいえば刺胞動物門のヒドロ虫類、管クラゲ類、サンゴ、ヤギ類など、内肛動物門、外肛動物門のコケムシ類、脊索動物門のホヤ、サルパなどに見られる。特にサンゴの場合ほとんどは群体であり、群体ではないものをわざわざ単体サンゴと呼ぶほどである。 サンゴやヤギ類など、固着性のものでは、個々の動物体がずらりとならんで、全体として枝状やマット状などの形をあらわす。固着性の動物には、群体を形成するものが多い。 原生生物でも、繊毛虫類のエダワカレツリガネムシは、不規則に枝分かれした枝先に個々の細胞がくっついた形をしている。これに類するものは他にもあるが、このようなものは、この範疇に入ると見ていいだろう。 なお、管クラゲやヒドロ虫類では個々の個体の分化が激しく、栄養個体、触手個体、生殖個体などと区別され、生殖にかかわるものは少数である。また、コケムシ類では少数の個体が群体の清掃や防衛にかかわる鳥頭体や振鞭体などに分化している。つまり、繁殖に参加しない個体がいる訳で、これは社会性昆虫に見られる真社会性の定義に当てはまる。社会生物学の立場からいえば、これらの群体は無性生殖によって増殖した個体が集合したものであるから、血縁度は最高で、したがって、真社会性が出現する可能性は高いと言える。ただし、社会性動物と言われることはまずない。そう言うには個体間が密着しすぎているとの判断になろう。
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