制作開始まで
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「ウォッチメン (映画)」の記事における「制作開始まで」の解説
1986年8月、プロデューサーのローレンス・ゴードンが20世紀FOXのために『ウォッチメン』の映画化権を獲得し、ジョエル・シルバーと共に映画化に向けて動き出した。20世紀FOXは著者のアラン・ムーアに脚本を依頼するが断られたため、脚本家のサム・ハムに依頼した。1988年9月9日、ハムは第1稿を完成させるが、338ページ・9部からなる原作を128ページに集約するのは非常に困難だと語った。ハムは複雑な原作の結末をより分かりやすく書き直した。20世紀FOXは1991年に映画化から手を引いたため、ゴードンはLargo International制作、20世紀FOX配給で動き出す。しかしLargoがその3年後に倒産してしまう。 ゴードンとシルヴァーはこのプロジェクトをワーナー・ブラザースに持って行き、テリー・ギリアムがメガホンを取ることになる。ハムの脚本に不満を抱いたギリアムは、チャールズ・マッケオンに書き直しを依頼する。第2稿ではロールシャッハの日記はボイス・オーバーの形で描かれ、ハムが脚本化の際に除いた部分が戻された。『ウォッチメン』の作画を担当したデイヴ・ギボンズによると、シルヴァーはDr.マンハッタン役にアーノルド・シュワルツェネッガーを希望していたという。撮影はパインウッド・スタジオで行われる予定だった。しかし、ギリアムとシルヴァーが直前に手がけた『バロン』と『ダイ・ハード2』の予算がオーバーしたため、この映画のために2500万ドルしか用意できなかった。これは必要な予算の4分の1にすぎなかった。結果としてギリアムはこのプロジェクトを諦めた。ギリアムは「このストーリーを2時間から2時間半の映画にしてしまうことは、『ウォッチメン』の基本要素を取り去ってしまう事になると感じた」と語った。ワーナー・ブラザースが映画化を諦めた時、ゴードンは『ウォッチメン』を自主製作するので、監督に復帰してほしいとギリアムに依頼する。ギリアムはこれを辞退し、「映画よりも5時間のミニ・シリーズにした方がいいのではないか」との見解を示した。 2001年10月、ゴードンとユニバーサル・スタジオは、デヴィッド・ヘイターに脚本を依頼する。ヘイターは2002年の初めには撮影が開始出来ると考えていたが、彼による第1稿は2002年7月に出来上がった。2003年7月、プロデューサーのロイド・レヴィンはヘイター版の脚本が完成したことを発表、すばらしい出来であると語った。しかし、ヘイターとプロデューサー達は意見の相違からユニヴァーサルを去る事になる。2003年10月にはRevolution Studiosで制作するかもしれないとゴードンとレヴィンは語った。ゴードンとレヴィンはプラハでの撮影を希望していたが、このプロジェクトも流れてしまう。 2004年7月、パラマウント映画が『ウォッチメン』を制作すると発表、ヘイターの脚本を使い、ダーレン・アロノフスキーを監督に選ぶ。ゴードンとレヴィンは引き続きこのプロジェクトに関わり、アロノフスキーのパートナーであるエリック・ワトソンと共同で動いていた。しかしアロノフスキーは『ファウンテン 永遠につづく愛』の製作のために降り、ポール・グリーングラス監督で2006年夏公開に向けて動き出す。この時、サイモン・ペグがロールシャッハ役をオファーされており、他にダニエル・クレイグやジュード・ロウ、シガニー・ウィーバーもこのプロジェクトに関心を持っていた。グリーングラスはDr.マンハッタン役にホアキン・フェニックスを希望していた。映画の宣伝のため、パラマウントは掲示板があり、壁紙がダウンロードできるウェブサイトを開設した。テリー・ギリアムはヘイターが書いた脚本を読んで気に入ったが、こんな内容の暗い映画はスタジオが制作しないだろうとグリーングラスに語った。2005年3月、『ウォッチメン』を含む高予算のプロジェクトの予算がカットされるとの噂が流れる。パラマウントのCEO、ダニエル・デ・ラインはこのプロジェクトを始めるために予算をカットするように促した。ブラッド・グレイがパラマウントのCEOに就任した際、予算のカットを恐れたレヴィンは、予算削減のためにイギリス国外での制作を計画する。しかしこのプロジェクトも流れてしまった。 2005年10月、ゴードンとレヴィンはワーナー・ブラザースと交渉を始める。同年12月にはワーナーが『ウォッチメン』を制作する事になるが、グリーングラスは監督を降りる。加えて、デヴィッド・ヘイター版の脚本は基本的に使われない事になった。
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