制作面の評価について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 08:41 UTC 版)
「一条さゆり 濡れた欲情」の記事における「制作面の評価について」の解説
上述のように低予算での制作が至上命題であった日活ロマンポルノでは、オールアフレコ、そして既成の音楽の使用が指示されていた。撮影現場で録音関連機材や録音する人員を要しないため、アフレコは制作費の圧縮に効果的であった。神代辰巳はアフレコを行う場面で、役者に台本のセリフと全く違うものを喋らせたり、予定外の音楽を挿入する等、制作費の圧縮目的で取られたアフレコという手段を逆手に取るように存分に活用した。 山根貞男は神代がアフレコを最も効果的に活用した例として、「一条さゆり 濡れた欲情」の中に挿入された江州音頭の春歌を挙げている。この歌は映画にヒモ役として出演した高橋明が歌っているもので、映画中何回か「なかなかなんけ~なかなんけ~」と、小気味よい歌声が流される。山根はこの歌と映像との間にずれが生じ、その中で映像の意味も転換させるようなめざましい表現力が創出されていると評価し、「一条さゆり 濡れた欲情」が広く受け入れられた要因の一つとなったと分析している。またこの江州音頭の春歌は生命讃歌であり、加えて河内音頭と比べて江州音頭には歴史が長く、土俗的な面を保ちながらも洗練された面白さがあって画面を壊すことが無いと、挿入歌として選んだことを評価する意見もある。
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