利水と分配
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/27 08:24 UTC 版)
1960年代まで、エスファハーン州では、水の分配に「トマール (Tomar)」が用いられており、文献資料によるとその起源は16世紀に遡るとされる。「トマール」はザーヤンデルード川の流れを33に分け、この地方の8つの主要な地区に分配していた。各地区では、水の流れを時間によって、あるいは、可変式の堰堤を用いて、水流の高さの変化に関わらず適切な比率で分配できるようにしている。 何世紀にもわたって、エスファハーンは周辺の肥沃な土地と繁栄ぶりで知られたオアシス都市であった。1960年代まで、工業用水の需要はごくわずかであり、限られた水資源は主に農業のために使われていた。流域における人口の増加と特にエスファハーン市内における生活水準の向上によって、水資源への圧力は着実に高まり、「トマール」による水の分配は維持できなくなっていった。大規模な製鉄所やその他の新しい産業の勃興によって、水需要は拡大した。 1972年のチャーデガーン(英語版)貯水池ダム計画は、水流の安定化に役立つ大規模な水力発電の計画であった。当初このダムは、サファヴィー朝の最大の影響力をもった王、シャー・アッバース1世にちなんでシャー・アッバース・ダム (Shah Abbas Dam) と名付けられたが、1979年のイラン革命後にはザーヤンデルード・ダム(英語版)と改称された。1972年、チャーデガーン貯水池は、ザーヤンデルード川の季節ごとの氾濫を防ぐ役に立っている。イラン暦の新年の時期には、放流量が増やされ、休日の時期にエスファハーンに川の流れが確保されるようになっている。 ザーヤンデルード川から取水された用水の80%は農業用水となり、10%は人間による消費(飲料水など、人口450万人の家庭の需要)、7%は工業用水としてエスファハーン製鉄会社(英語版)やモバーラケ製鉄会社(英語版)、エスファハーンの石油化学産業、製油所、発電所で使用され、3%はその他の用途で使われている。ザーヤンデルード川と同じくザグロス山脈に源を発するイラン最長の河川であるカールーン川から、数多くのトンネルを介してザーヤンデルード川へ導水する取り組み(クーフラング川(英語版)計画)が進められてきた。これによって、エスファハーン県やヤズド県における人口増加や新たな産業へ水を供給することを可能にしてきた.。
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