再生可能エネルギー導入に伴う問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 22:41 UTC 版)
「原子力撤廃」の記事における「再生可能エネルギー導入に伴う問題」の解説
「ドイツにおける電気料金をめぐる議論」を参照 この一方、再生可能エネルギー導入の急拡大はさまざまな問題を引き起こしているのも事実である。 関連企業の育成の問題 太陽光発電の拡大は環境関連の産業育成を後押しすると期待されていたが、予想に反して結果的に価格の安い中国製の太陽光パネルによって国内メーカーが相次いで破たんに追い込まれた。欧州委員会は中国からの太陽光パネル、太陽電池、太陽ウェハーに追徴関税をかけることを検討しており、2013年6月6日にその最終的な結論を出すとしている。しかし、このような中国製造メーカーとの競合があっても、付加価値は、発電機製造のみで生じるわけではなく、発電機設置の計画、設置作業、メンテナンス、太陽光発電の経営によっても生じるため、太陽光発電の促進はドイツ経済に利益をもたらすとの研究結果をドイツ再生可能エネルギー庁(ドイツ語版)は発表している。 電力価格の上昇 再生エネルギーの買い取り制度はドイツの電気料金を1.8倍に上昇させ家計を圧迫している。これを受けドイツ政府は太陽光発電の買い取り価格を2-3割引き下げ、かつ買い取り対象を制限する方向に舵を切った。独商工会議所によるとドイツ国内の製造業の約2割が電気料金の値上げを理由に生産拠点を既に海外に移転したか、将来的に移転を計画しており 国内産業の空洞化が懸念されている。一方、ノルウェーのアルミニウム製造業者ノルスクハイドロ(ドイツ語版)のように、ドイツの発電コストは安いのでドイツ国内での生産量を3倍にするという企業もある。世論調査機関フォルサ(Forsa)が2012年10月18日から19日にかけてドイツで実施した世論調査では、約3分の2(64%)の住民が、たとえ電力料金が予想より上昇しても脱原発に賛成と答えており、脱原発の撤回を求めるのは29%であった。 また、2000年以降の料金値上げ幅に占める再エネ負担の割合は3分の1にすぎず、過剰反応と指摘する環境NPOもいる。電力料金には、発送電小売りコストや再エネ賦課金だけでなく、電力税、付加価値税、コジェネ促進税などが乗せられており、これが電力料金を押し上げているゆえ、税金負担を軽減すべきとする意見も少なくない。 騒音公害 風力発電は騒音や健康被害があり、ドイツでも風力発電所建設を阻止しようとする環境運動も起きている。設置済みの風力発電機についても、「飛行機の離陸音のような爆音を発生させる」として、住民が司法に訴えで撤去に至る事例もある。 ドイツにおいては、隣国で原子力発電を進めているフランスから原発停止によって不足した電力を購入することができるため、エネルギー自給率にこだわることがなければ、電力不足の問題を解決できるのではないかと言われることもある。
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