公共の場での授乳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 11:17 UTC 版)
人々が集まる場に乳児を伴う場合も、乳児におっぱいを飲むなとはいえない。そのような場で人目に晒されながら授乳するのは自他共に居た堪れないものである。公共の場での授乳は世界各国で合法なものとされ、職場での授乳を拒む企業は罰せられている。 アメリカ合衆国では「授乳権法」the "Right to Breastfeed Act" (HR 1848)が法文化された(1999年9月29日)。連邦のいかなる施設でも女性は自分の子に授乳することができる。しかしながら、州によってはその州の施設について同様の法制化が行われていないこともある。子供が育児を受ける権利を明文化しようという動きはオハイオ州では成功したが、ウェストバージニア州他では失敗した。2005年6月までに、35の州で授乳する母親とその子供を守る法律が制定された。いかなる公共の施設でも授乳は合法である。 イギリスの保健省Department of Healthは調査の結果、ほとんど(84%)の人々が独立した場所で行われる限りにおいて公共の場での授乳を認めていると発表した。それと対照的に、67%の母親は公共の場での授乳が世論の糾弾を浴びるのではないかと案じている。スコットランドではこのような脅威と戦うために、公共の場で授乳する女性を守る法案が提出され議会を通過した。許可された場での授乳を妨害すると£2500以下の罰金となる。 カナダでは「人権と自由の憲章」(the Canadian Charter of Rights and Freedoms) において男女差別問題に関係してある程度の保護がある。しかし、授乳の権利は明文化されていない。1989年、カナダ最高裁は妊娠は女性特有の状態の一つであって、妊娠をもとにした差別は男女差別の一つであるという判決を下した (Brooks v. Canadian Safeway Ltd.)。カナダの判例はまた、男性と同様女性も自分の胸を露出することが許されるともいっている。ブリティッシュコロンビア州では、ブリティッシュコロンビア人権会議・方針と手続きの手引き (the British Columbia Human Rights Commission Policy and Procedures Manual) が女性勤労者が授乳を望んだ場合それを権利として認めることを定めている。 多くの母親は食事時に外出する際、搾乳器や自分の手で搾った母乳を携帯している。小さな瓶を持ち運ぶだけで、人前で不愉快な思いをしなくても母乳栄養をおこなうことができるからである。ただし、直接の授乳になれた赤ん坊は哺乳瓶を嫌うことがあるので、うまくいかないこともある。
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