全曲上演
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全曲の上演は、ベルリオーズの死後21年を経た1890年12月6日に、南ドイツのカールスルーエにてフェリックス・モットルの指揮によって行われているが、この時はドイツ語版による上演であった。1899年にパリ・オペラ座で第1部『トロイアの陥落』の上演が行われ、1921年に同劇場で大幅にカットされた全曲版も上演されている。また、この同じ短縮された版で1957年に、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスでも行われている(指揮はラファエル・クーベリック)。 フランス語版による全曲上演は、ベルリオーズの死から100年を経た1969年にコリン・デイヴィスによって実現された。その後、1973年にメトロポリタン歌劇場でも上演され、この時はアメリカ初演であった(指揮はロンドン公演と同じくクーベリック)。全曲版の米国初演は1972年にオペラ・カンパニー・オブ・ボストンにより、サラ・コールドウェルの指揮によって実現された。1983年にはメトロポリタン歌劇場の100周年記念の演目として、ジェームズ・レヴァインの指揮で行われた。米国でのヒュー・マクドナルド(Hugh Macdonald )による新ベルリオーズ全集での上演は、シャルル・デュトワと演出フランチェスカ・ザンベロのコンビで、1991年9月にロサンゼルス・ミュージック・センター・オペラで実現した。1990年にはバスティーユ歌劇場の杮落し公演の演目として、チョン・ミュンフンの指揮で上演された。 1993年にはシャルル・デュトワの指揮で、「シノンの場」を含む完全全曲版でのカナダ初演が行われ、直後にデッカによって録音された。ベルリオーズの生誕200年記念の2003年には、パリ・シャトレ座、メトロポリタン歌劇場、ネーデルランド・オペラ、イングリッシュ・ナショナル・オペラ、ライプツィヒ歌劇場、マンハイム国民劇場にて上演された。2011年2月14日にはヴァレリー・ゲルギエフの指揮によって、サントリーホールにてマリインスキー劇場管弦楽団および合唱団の演奏によって、コンサート形式ながら全曲での日本初演がなされた。 2015年6月にはサンフランシスコ歌劇場で、ドナルド・ラニクルズの指揮、スーザン・グラハム、ブライアン・イーメル、アンナ・カテリーナ・アントナッチの歌唱、デイヴィッド・マクヴィカールの演出で上演された。このプロダクションはこの後、ウィーンでも上演される見込みである。 2015年9月/10月/2016年5月にはハンブルク州立歌劇場にて、ミヒャエル・タルハイマーの演出、ケント・ナガノの指揮によりパスカル・デュサパンによる短縮版での上演された。2015年10月には、ジュネーヴ大劇場にてシャルル・デュトワの指揮で、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によりコンサート形式ながら2回にわたり全曲演奏が行われた。2016年10月/11月にはシカゴ・リリック・オペラがティム・オルベリーの演出、アンドルー・デイヴィスの指揮、ブランドン・ジョヴァノヴィッチ、スーザン・グラハム(ソフィー・コッシュから変更)、クリスティン・ゴアークの歌唱により上演された 。 パリ・オペラ座は2015年の『ファウストの劫罰』の舞台上演を皮切りに、ベルリオーズのオペラ・ツィクルスを計画しており、『ベアトリスとベネディクト』と『ベンヴェヌート・チェッリーニ』に続き、新演出による『トロイアの人々』がバスティーユ歌劇場の開場30周年記念するとともにパリ・オペラ座の350周年を記念して、2019年1月から2月にかけて、ドミトリー・チェルニャコフの演出、フィリップ・ジョルダンの指揮で上演される計画が発表されている。主な配役はブライアン・イーメル(エネ)、エリーナ・ガランチャ(ディド)、ステファニー・ドゥストラック(カサンドル)、ステファヌ・ドゥグー(コレーブ)となっている。2018年10/11月にはウィーン国立歌劇場でも、アラン・アルティノグリュの指揮、ジョイス・ディドナート、ブランドン・ジョヴァノヴィッチ、アンナ・カテリーナ・アントナッチほかの歌唱、デイヴィッド・マクヴィカールの演出で上演する予定が発表された。
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