偽札問題とその後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 16:00 UTC 版)
中華人民共和国では、2014時点で100元、50元、20元、10元、5元の紙幣と1元のコインで偽札・偽硬貨が相当数流通しているが[信頼性要検証]、ほとんどが最高額紙幣である100元または50元紙幣の偽札である。100元紙幣を渡したときは、受け取り側は、念入りに見て透かしなどを確認したり、手で擦ってインクが滲まないか、凹凸があるか、紙幣番号を確認する。そのため銀行のみならず、両替商や飲食店にも紙幣識別機を常備している[信頼性要検証]。 ATMでも、支払い紙幣に偽札が出てくる場合もあり[信頼性要検証]、偽札の場合は、その場を動かずATM脇の監視カメラに向かって「偽札申告」をしなければ、真札と交換して貰えない。なお、気がつかずに偽札を受け取った場合、罪に問われることはないが、偽札は没収される上、警察や銀行での補償は一切ないため、偽札があっても意に介さず、そのまま偽札を使っているのが実態である。 なお、偽札と知りながらの所持・使用は、比較的高額の場合、3年以下の懲役もしくは1万人民元以上10万人民元以下の罰金、もしくはこの両方が併科される。 2015年9月中旬には、広東省恵州市にて、新中国建国以来最大規模の偽札事件が公安当局に摘発された。最高額紙幣の100元札で2億1000万元(約39億8000万円)分の偽札(重ねると66階建てのビルに相当する)が押収された。偽札印刷工場は、摘発を防ぐため別目的の工場内に密かに作られており、事務所の書棚を押すと隠し通路が現れる仕組みだった。『広州日報』によると押収額、容疑者数(29人)とも、1949年の新中国建国以来過去最大という。中国では2015年11月12日に、最新の偽札防止策を施した新100元札が発行されたので、偽造グループは「最後の機会」として、偽札をフル生産していた。 1988年に100元紙幣が登場しているが、1988年と比べて物価は2013年時点では50倍近くのインフレーションで上昇し[信頼性要検証]、経済発展に伴う物価の上昇を受けて、これまでも1,000元紙幣や1万元紙幣など高額紙幣の発行が取り沙汰されてきたが、偽札による被害が増えかねないため、未だに実現していない。 2016年4月には、北朝鮮製の偽100元札の流通が報じられた。 2020年代ではAlipayや微信支付により、QRコード決済によるキャッシュレス社会化が急速に進められている。キャッシュレス化自体の固有の問題や、外国人の導入ハードルがやや高いなど課題はあるものの、現金の使用率自体は減ってきていることから自ずと偽札問題は一時よりは鳴りを潜めるようになっている。
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