健康保険適用と診療報酬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 12:10 UTC 版)
吃音は日本国内において、ICD-10やDSMに準じた厚生労働省の「疾病、傷害及び死因分類」 が採用されており、基本的に、医療機関で受診可能な健康保険適用の吃音症という疾病に分類されている。診療報酬情報提供サービス では健康保険適用の疾病とされており、医療機関は、脳血管疾患等リハビリテーション料を請求する仕組みになっている。これは2006年の診療報酬改定の際に、厚労省と言語聴覚士協会が正式合意したものである[要出典]。 日本音声言語医学会は吃音は広義の意味で構音障害の一つと考えており、保険治療の対象になるという立場である[要出典]。しかし、患者が受診できる医療機関や治療及び、医師が診療報酬を受け取れる医療や仕組みが限られてしまっている。日本においては吃音症はSTの置かれた耳鼻咽喉科やリハビリテーション科、一部小児科や神経内科、小児神経内科などを除いては、医療体系に充分に含まれていないからである。耳鼻咽喉科などでは吃音症に加え、音声言語障害(言語障害、音声障害、言語機能の障害、言語発達障害などでも可)の診断名を付し、STによる訓練を受けた場合、問題なく健康保険適用される。吃音のみの診断名では自治体の審査支払機関に不適切とみなされ、健康保険適用外としてレセプトが返戻されてしまう場合があるが、審査支払機関によっては可能な場合もある。健康保険適用と認めるか否かは、自治体の診療報酬審査委員会の審査官個人の判断に委ねられ、その基準には幅がある。 精神科、神経科、心療内科などでは、通院・在宅精神療法 の適応疾病や薬剤処方の適応書に吃音症は含まれていない。したがって、かかる治療を受けるのなら健康保険を使って受診できない。しかし、通院・在宅精神療法を点数として取らず、薬剤処方もしなければ吃音症のみで受診することは可能であり、初診料と再診料のみの診療報酬を請求することになる(精神科は検査などを多くしないので、診療報酬が低く、初診料・再診料以外に通院・在宅精神療法などが加算される仕組みになっている)。その場合、審査支払い機関への病態の保証・説得が大事になり、治療法としては、認知行動療法、精神力動的治療(精神分析など)、交流分析、カウンセリング、ロールプレイ、ゲシュタルト療法、家族療法などが挙げられるが、医師の判断や医療機関の治療資源、得意分野などによって違ってくる。医療機関によっては、受診拒否されることがあるが、その医療機関や医師に吃音症の知識や治療資源がなかった場合は、医師法19条が禁止する診療拒否には当たらない。
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