使用と文化上の位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 03:10 UTC 版)
口笛による発話の最初期の記録は、古代ギリシアの書物に記述されているものの可能性がある。ヘロドトスは『歴史』第4巻メルポメネの中で「蝙蝠のように話す」エチオピアの穴居人(英語版)について触れている。また、クセノポンは『アナバシス』の中で、クセノポンが紀元前400年に黒海南岸の古代部族の支配する地を旅した際、現地の住民が谷をまたいで遠く離れていても互いに聴き取りができたことを記述している。この記述にあった地は、口笛言語、クシュ・ディリ(トルコ語版、英語版)(土: kuş dili)が現在でも実際に使われているトルコのクシュコイ村(トルコ語版、フランス語版、英語版)(土: Kuşköy)も含んでいる。 古代中国では長嘯(英語版)(英: transcendental whistling)の技法は、道教の道士の瞑想法の精神的側面と親和性があり一種の非音声言語であった。 ギリシアのエヴィア島のアンティア村(ギリシア語版)(希: Αντιάς)に現在でも口笛言語の使用者が僅かながら残っているが、1982年当時にはこの口笛による発話スフィリア(ギリシア語版)(希: σφυριά)は、地元住民全員が使っていた。 口笛言語は文化の中で非常に中心的で高く価値付けられうる。メキシコのソチアパム・チナンテック語(英語版)で叫び声は、非常に稀である。この文化で男性は、確固たる町の仕事をこなすに足るほど口笛言語の使用に習熟しなければ罰金が科せられる問題となる。彼らは発話が容易に聞こえてしまう状況では戯れに口笛を使うことがある。 メキシコのオアハカ州のソチアパム(英語版)、メキシコの他の場所、同様に報告がある西アフリカにおいて、口笛言語は男性が使用するもので、女性は口笛言語を理解できても使用するものではない。 口笛言語は、暗号や言語ゲーム(英語版)ではない(スペインの植民地統治下のキューバで、内乱(英語版)での反政府勢力アバクワ(スペイン語版、英語版)(西: Abakuá)により用いられた口笛言語は例外とする。)が、周囲に部外者や口笛言語を知らず理解できない人々がいる際に元の発話の意味を伝えうる秘匿性のあるコミュニケーション手段として使われることがある。第二次世界大戦中のアス(フランス語版、英語版)ないしはラ・ゴメラ島に、警察の手が及ぶ前に口笛による発話を使って警報を発することで水で薄めた牛乳製造の証拠を隠しおおせた狡猾な農夫の話がある。
※この「使用と文化上の位置づけ」の解説は、「口笛言語」の解説の一部です。
「使用と文化上の位置づけ」を含む「口笛言語」の記事については、「口笛言語」の概要を参照ください。
- 使用と文化上の位置づけのページへのリンク